商業取引のビットコイン(BTC)決済が2018年初から9月までに80%も大幅ダウン

ロイター通信などの報道によると、スーパーや小売店など商業取引全般のビットコイン(BTC)による決済が、2018年に入って大幅に減少し、年初来80%もダウンしていることが分かりました。

ビットコインは17年末2万ドル(約260万円)まで高騰し、決済手段として日常生活で広く利用される可能性が高まっていましたが、決済代行大手が処理したビットコインの総額は、18年9月までにほぼ80%ダウンしていました。

ビットコイン(BTC)のリアルタイムチャート

ビットコイン(BTC)決済総額は4億2700万ドルから9600万ドルまで下落

ブロックチェーン調査会社チェーンアリシス(Chainalysis)によるこの調査結果は、ビットコインが法定通貨に代わりうる資産にまで円熟するとの期待を裏切り、苦闘している事実が浮き彫りになりました。税務・アドバイザリー大手のKPMGはこのほど、業界インサイダーから注目されている自社ブロックチェーン・レポートの中で、同じような結論を引き出しています。

投資銀行であるUBSロンドンの戦略家ジョニ・テべス氏(Joni Teves)は「ビットコインがもう1つの形のマネーになるとすれば、安定性が必要になる。しかし、ビットコインが主流になりうるもう1つの要件は、スケーラビリティである。つまりマネーに求められる取引の価値あるいは取引量を処理できるかどうか?の問題である」と語っています。

チェーンアリシスのデータによると、ビットコイン決済の総額は、ビットコインそのものの安定性が増してきたことと反比例して、17年12月過去最高の4億2,700万ドル(約480億円)から9,600万ドル(約108億円)まで下落しました。これは同社が、決済代行大手のビットペイ(BitPay)を含む17社の代行業を調査した結果です。ほとんどの小売店はビットコインを直接受け取らず、ビットコインを法定通貨に交換する目的で、ビットペイなど仲介業を利用しています。

決済に使われるビットコインの包括的データはばらばらで不完全なものですが、例えば、バンクーバーの決済代行業コインペイメンツ(Coinpayments)では、18年1月から10月にかけて取引の入出金は半減以上も落ち込んでいました。調査会社オートノマス・ネクスト(Autonomous Next)のフィンテック戦略部門世界ディレクターのレックス・ソコリン氏(Lex Sokolin)は「ビットコイン決済処理は、緩やかだが確実に下落傾向になる」と語っています。

仮想通貨市場は停滞、ビットコイン(BTC)取引量も大幅減

ビットコインは誕生から10年を通じて、さまざまな投資家を引き付けてきました。一部投資家は、ビットコインが伝統的な決済手段に取って代わることによって、世界の金融システムを改変するとの考えの下に投資してきました。その期待は裏切られ、ビットコイン価格は11月下旬になって一挙に4,000ドル(約45万円)を割り込み、その価値のほぼ4分の3を失う異常事態になりました。

ブロックチェーン調査会社ディア(Diar)によると、主要な仮想通貨市場のすべてが、この1年にかけて大幅に沈滞しました。ビットコイン取引量は18年1月から79%下がっています。ディアは、大手銀行やICE(インターコンチネンタルエクスチェンジ)主導のバックト(Bakkt)や著名なフィデリティ(Fidelity)のような投資会社の活動は極めて活発なのに対して、取引量が大幅下落していると指摘しています。このデータが意味するものは、ウォールストリートの両企業が動いても、仮想通貨に対する新たな関心はなお呼び起こせないということです。このような傾向は、イーサリアム(Ethereum)についても同様です。

仮想通貨市場は今、試練の相場を迎えています。

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参考
The Next Web

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