ロシア外相がドル支配を脱する政策追求、仮想通貨は国際決済に

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相はこのほど、ロシアは米ドルの使用を完全に排除する意図はないが、暗号資産(仮想通貨)が国際決済に重要な役割を果たすことは避けられないだろうと語りました。国営イタルタス通信が6月9日伝えたもので、同外相は世界政治と経済の国際サミット「プリマコフリーディング(Primakov Readings)」で仮想通貨に関する同国の見解を披露しました。

ロシアはゴールドと外貨準備には米ドル排除決定

イタルタス通信によると、ラブロフ外相は「仮想通貨が(貿易や金融において)非常に重要な役割を果たす時が来ることは不可避であると思う」と語りました。同外相はそれがどのような暗号資産、例えばビットコイン(BTC)なのか、大企業が支援するステーブルコインもしくは中央銀行デジタル通貨(CBDC)なのか直接言及しませんでした。ちなみに、ロシア政府当局者は折に触れて、CBDCのことを暗号通貨(仮想通貨)と呼んできました。

モスクワで開かれたシンクタンクの国際サミットで同外相は、ロシアは貿易取引で米ドルが使われることを完全に排除することを求めてはいないが、すでに実行に移していると見られる脱米ドル(政策)について繰り返し触れて、次のように語りました。

「われわれはロシア経済と金融システムにおける米ドル依存から脱したいと心から願っている。先日、われわれは国家準備の金と外貨準備は米ドルで保存しないことを決定した。関連する措置はすでに実行に移されている。しかし、再度明言するが、それはわれわれが米ドル利用を広く排除することを意味するものではない」

他国との2国間貿易は米ドルでなく自国通貨で決済へ

同外相はさらに、ロシアは現在、他国との2国間(相互)決済に米ドルではなく相互の自国通貨を受け入れるよう進めており、「われわれは(米ドルではなく)ほかの通貨に一段と依存する努力をしている。例えばパートナーである中国との相互貿易には、自国通貨で決済することになる」と述べています。

アントン・シルアノフ財務相は6月3日、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムで、原油・天然ガス収益を財源とする政府系ファンドの国民福祉基金(FNB)の投資構造を完全に変革して、ドル建て資産をゼロにし、ユーロと人民元に向ける計画であることを明らかにしています。

またラブロフ外相やロシア政府の金融高官らは、以前からモスクワー北京間の交易の脱米ドル計画について話し合っています。一方武器メーカーのカラシニコフ(Kalashnikov)のオーナーであるアラン・ルシニコフ(Alan Lushnikov)氏は他の有力企業リーダーと共に6月初旬、仮想通貨を利用する決済を受け入れるよう、ロシア政府に呼び掛けています。

参考
Russia Could Use Crypto to Dodge US Sanctions – Political Insider

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