中国人民銀行がデジタル人民元(e-CNY)発行の意義を強調する白書公表

中国人民銀行(PBoC)はこのほど、デジタル人民元(e-CNY)に関する白書を公表し、e-CNY開発の背景と目的、展望を説明すると同時に、一般市民のコメントを求めました。PBoCは同時に、e-CNY発行を下支えするためか、ビットコイン(BTC)など非集中型の暗号資産(仮想通貨)を改めて批判し、ビットコインなど仮想通貨は本質的な価値はなく、エネルギー消費量も極めて大きいとその理由を明らかにしています。

仮想通貨は投機的手段と改めて批判

PBoCによると、これら仮想通貨は、日常の経済活動に通貨として用いるにはほとんど有用ではなく、ほぼ投機的な手段であって金融上の保障と社会的安定にとって潜在的なリスクになると述べています。同銀はさらに、「世界のステーブルコインは、リスクをもたらし、国際的な金融システムを脅かす」と強調しています。

PBoCはまた、中国における仮想通貨の普及状況について、「2,087万余りの個人ウオレット、351万余りの企業ウォレットが開設されており、取引量は7,075万件、取引総額は約345億人民元(約53億ドル)となる」と初めて内訳を公表しました。

デジタル人民元は法定通貨であり、国民の消費向けCNBC

e-CNYは以下のような機能を果たします。

  • (e-CNYは)中央銀行(PBoC)が発行する法定通貨であり、人民元(RMB)の1形態である
  • それは主として流通における現金に代わるもので、物理的RMBに対する需要がある限り、PBoCは行政命令を通じて供給を止めることも取って代わることもない
  • それは中央集権的な管理モデルと2重の運用システムを採用する。すなわちe-CNY運用システムの中心にあるPBoCとともに国家に所属するe-CNYを発行する権利を保有する。権限を与えられたオペレーター(運用業者)とその他商用機関が、一般国民向けにe-CNYの交換と流通に当たる
  • それは一般国民に対して発行される消費向け中央銀行デジタル通貨(CBDC)であり、主として国内消費向けの決済要求に有用となる
  • 将来のデジタル消費決済システムにおいて、e-CNYと権限を与えられた運用者の電子アカウントとファンドは相互運用され、両者は流通における現金となる
  • >デジタル人民元発行の最終日程明らかにせず

    PBoCは、中国の5年計画(2021-2025年)に沿って引き続き「e-CNY研究開発(R&D)プロジェクトを慎重に進める」ことになっていますが、最終的な開始に日程は決まっていないと発表しました。PBoCはこれまでは、2021年2月の冬季オリンピック開催に合わせて次の段階のトークンを発行する計画だと述べてきましたが、2月開催のオリンピックゲームの前に全国展開するとまでは明らかにしていません。

    デジタル経済の進展によって、中国では現金による取引は大きく後退しています。2019年のPBoC調査によると、モバイル決済の回数と価格はそれぞれ66%と59%を占めていました。一方。現金決済は23%と16%まで落ち、カード決済は7%と23%でした。

    参考
    Progress of Research & Development of E-CNY in China

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