ICEの決算発表会で説明されたバックト(Bakkt)について知っておくべきこと

ニューヨーク証券取引所の親会社であるインターコンチネンタル取引所(Intercontinental Exchange :以下ICE)は、バックト(Bakkt)という名前でデジタルアセット(暗号通貨やトークン)のプラットフォームを作ろうとしていることは周知の通りです。

このほどICEが2018Q4の決算説明を行いました。音声はこちらから参照できます。(参照

ETFは2019年内の承認は難しいだろうと考えられている今、Bakktのローンチは、暗号通貨相場で最も重要なイベントとも言えるでしょう。今回のICEの決算説明会でもBakktについて言及されていました。その中でも特筆すべき点を振り返ります。

2019年にどのくらいの予算が使われるか

Bakktは、今年2,000万~2,500万ドル(約22~27億円)程度の資金を使用する予定であると説明しています。Bakktは、2019年はじめに先物販売業者のローゼンタール・コリンズ・グループ(Rosenthal Collins Group)を買収しています。資金の使用は、こういったM&Aを含めるとさらに増えるのではないかとも推察されます。

Bakktは「困難だが壮大な挑戦」

Bakktは、Boston Consulting Group、CMT Digital、Eagle Seven、Galaxy Digital、Goldfinch Partners、Alan Howard、 Horizons Ventures、 Microsoft’s venture capital arm、M12, Pantera Capital、PayU、 Naspers、Protocol Venturesから1億8,000万ドル(約200億円)の資金調達しています。

これらの投資家はIT業界および、暗号通貨業界でそれぞれ影響力が大きい面々で、その中でもマイクロソフトなどは戦略的パートナーとして名を連ねています。

ICEは今回の決算発表で、Bakktは「a bit of a moonshot bet」と発言しています。「困難だが壮大な挑戦」というようなニュアンスです。同時に、Bakktはあくまで別会社であり、ICEともニューヨーク証券取引所とも分離していると明言しています。

Bakktのローンチは、今年の後半を見込んでいると発言しています。Bakktはすでに2回のローンチ延期をアナウンスしていることになります。これにはアメリカ政府機関の閉鎖も影響しています。

まとめと考察

最も重要な点はやはりローンチ時期でしょう。今年のQ1と予定されていたローンチ時期は再びずれ込み、今年後半が予定されています。Bakktは、元コインベース(Coinbase)の機関投資家の顧客担当の引き抜きや、先述した買収案件などでは活発に動いていますが、ローンチは当初予定されていた昨年の12月から大幅に遅れつつあります。

いずれにしても今年の相場環境では最も大きい変数になる可能性が高いトピックで引き続き注目されますが、今回の延期のアナウンスで失望の売りは起きていません。

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