中国人民銀行(PBOC)は9月24日、暗号資産のマイニングと取引の規制について新たな警告を発しました。同国内で中国人民元や米ドルなどの法定通貨と暗号資産を交換したり暗号資産自体を交換できるすべてのサービスが、違法行為として扱われると強調しました。違法事業の提供者は刑事罰対象となり得るとしています。
2021年5月にマイニング事業者に対する取り締まりを行った中国ですが、より広範囲に暗号資産事象者に対して警告を発した形になります。この時点では中国国内のマイニング事業者が、北米をはじめとした地域に拠点を移転させる動きがありました。
今回は中国による過去最高レベルの暗号資産規制の実態把握と現時点の影響を理解しましょう。
中国による過去最高レベルの暗号資産規制
今回の発表の後、当日はビットコインの価格が10%近く下落したほか、HuobiやOKExなど中国ユーザーが最も多い大手取引所では、中国ユーザーへのサービス停止を相次いで発表しています。中国の規制は明らかに異なるフェーズに入ったといえ、それはむしろ規制というより禁止と違法取締りという言葉を積極的に使ったほうが状況に対して適切であるとも言えます。
今回の声明がこれまでと異なる点は、中国の暗号資産規制は中国人民銀行(PBOC)が主体になっていましたが、今回はその他10の政府機関と連携した声明であるということです。また明確に刑事罰にまで言及している点でも、過去最高レベルの取締り強化であると言えます。声明文では、地方自治体に対して「禁止事項」として暗号資産関連活動の包括的なリストを提供し、それらを取り締まるように命じています。
リストに含まれるものは、暗号資産取引及び注文の照合、トークンの発行、デリバティブサービスなど暗号資産に関連するほとんどあらゆるサービスが網羅されています。
現時点での中国の暗号資産規制による影響
各プレイヤーによって影響は異なりますが、主要な影響は以下の通りです。
マイナー:
マイナーは5月の禁止令の後、すでに中国を離れているため、新たな影響はありません。
マイニングプール:
イーサリアム(Ethereum)最大のマイニングプールであるスパークプール(SparkPool)は、中国本土のマイナーへのサービス提供を停止すると発表しました。他の大手マイニングプールであるビープール(BeePool)は、10月15日に中国でのサービスを停止すると発表しました。
情報サイト:
価格指標サイトのCoinGecko、CoinMarketCap、TradingViewは中国のインターネットファイアウォールによってブロックされました。
中央集権取引所:
HuobiとBinanceは中国からの新規登録を停止しました。
DeFiプロジェクト:
zk-rollupベースの分散型取引所のLoopringと、DeFiウォレットのDebankは、中国のIPアドレスからのアクセスを停止しました。
その他:
中国のCrypto WeChatグループでこれまで暗号資産投資家はコミュニケーションしてきましたが、現在その多くがTelegramに移行しています。
中国の大規模な暗号資産禁止措置は一つの暗号資産の時代転換と言っても良いでしょう。少なくとも中国の大口ユーザーをドライバーにして帝国的企業Binance・Huobi・OKEXにような組織が作られることは今後有り得ないでしょうし、中国のコミュニティに支えられているパブリックブロックチェーンのプロジェクトは冬の時代を迎えるはずです。