テキサス州は自身をアメリカで最もビットコイン(BTC:Bitcoin)マイニングに適した土地であることを示しています。暗号資産(仮想通貨)投資家にとって快適な環境作りを進めており、そのターゲットには、仮想通貨禁止の動きが進む中国のマイニング業者もいるようです。
テキサス州はいくつかの点で、アメリカのビットコイン・マイニングの中枢になる可能性を秘めています。1つは州知事グレッグ・アボット(Greg Abbot)氏の存在で、彼の率いる州政府は公的に仮想通貨を支持しています。知事は直近のツイッターでも州内のスーパーに仮想通貨ATMを設置したことを報告し、同州が仮想通貨界のリーダーになると述べています。
It's happening!
Texas will be the crypto leader.
Cryptocurrency is now coming to Texas grocery stores.
H-E-B is putting cryptocurrency kiosks into some Texas grocery stores.#cryptocurrency @HEB https://t.co/e4CNsSbd0s via @chron
— Greg Abbott (@GregAbbott_TX) June 19, 2021
仮想通貨に好意的なテキサス州
テキサス州では仮想通貨投資家のためのインフラ整備も行われています。一例としては、2021年9月に採択された2つの仮想通貨支援法案が挙げられ、それがマイナーにとって同州の魅力を高める要因にもなっています。
アボット知事は9月1日に、HB1576とHB4474という2つのテキサス州法案にサインしました。HB1576はブロックチェーン技術に関する作業部会を創設するといったもので、もう1つのHB4474は仮想通貨を決済方法のひとつとして認めるという内容です。テキサス州は、ワイオミング州やロードアイランド州などに続いて仮想通貨を認証した最も新しい州です。さらに州認可の銀行は仮想通貨資産を扱い、それは州の権限によっても承認されています。
もう1つテキサス州にとって有利な条件は、州内にブロックチェーン委員会(BC council)を持っていることです。リー・ブラクター(Lee Brachter)氏をトップに70人のメンバーで構成された委員会では、住民にビットコインでの納税を許可する法改正も審議されています。さらにテキサス州ではブロックチェーンに関する最大級のイベントにもなる「テキサス・ブロックチェーン・サミット(Texas BC Summit)」も開催されました。
激化するマイナー獲得競争
現在では中国からマイナーが、仮想通貨業界におけるテキサス州の立場を確立させるため重要なプレイヤーになっています。中国政府による仮想通貨禁止キャンペーンによって、水面下での活動を余儀なくされた中国国内の仮想通貨愛好家や投資家は、より仮想通貨に好意的な新天地を探しています。
このマイナー移住のチャンスに対して、テキサス州は仮想通貨を支援する体制に加えて、仮想通貨ビジネスに適した環境整備と安価で潤沢な電力供給が可能だという優位性を示しています。マイニングは多くの労働力を要するため、豊富な電力はマイナーの移住にとって大きな魅力になるでしょう。
ただし同様の試みは他州でも行われており、カリフォルニア州、ワイオミング州、フロリダ州、コロラド州などは仮想通貨投資家を誘因する環境を構築し、マイニング活動の最適地であることをアピールしています。テキサス州は、これらの州を追いかける立場にあるわけです。
テキサス州にとって、マイナー獲得競争に勝つためにやるべきことはまだ多くあります。仮想通貨業界の発展にとって、最大の障害は法律による規制と言われており、そのためテキサス州では業界の活動に最適な枠組み作りをはじめとして、仮想通貨支援法案などさまざまな取り組みをスタートさせています。
参考
・Texas relishing Bitcoin-China fallout; rolls red carpet welcome for migrating miners
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