FRBが銀行ストレステストの評価に「ビットコイン市場崩壊」の事態も採用検討

日本銀行に相当する米連邦準備制度理事会(FRB)はこのほど、失業率の変化、原油価格の変動、世界の商品の出来具合などとともに「ビットコイン市場の崩壊」が、米国内の金融市場にマイナスの影響を及ぼす要因になりかねないとの懸念を表明しました。

FRBは、「ビットコイン市場の崩壊」が金融市場にマイナスの影響を及ぼす主要な要因の1つとして取り上げることを検討中とすれば、裏返せばFRBがビットコインなど仮想通貨の存在を無視できないことを初めて認めることを意味します。FRBは毎年、市場暴落や自然災害のような突出したストレス事象を念頭に、銀行ストレステストを実施しています。ストレステストは、これらシナリオに基づき損失規模を評価するリスク評価手法です。

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ストレステストは銀行や政府関連機関の「健全性検査」

FRBは2019年2月28日、「Amendments to Policy Statement on the Scenario Design Framework for Stress Testing(銀行ストレステストのシナリオ設計フレームワークに関する政策綱領に対する修正事項」を発表して、今後のストレステストに「ビットコイン市場の崩壊」をあえて考慮しなくてはならない理由を初めて説明しています。

銀行ストレステストとは聞き慣れない言葉ですが、銀行の健全性検査と言えるもので、金融や経済の分野のそれは、日米、欧州連合(EU)など主要国が毎年、銀行や関連国家機関の運営が健全かどうかを調べる重要なテストです。富士通総研によると、ストレステストとは「市場暴落や自然災害のようなストレス事象を念頭に、シナリオに基づき損失規模を評価するリスク評価手法である」としています。

ストレステストはリーマンショック以来、金融や経済の健全性を事前に調べる手法として特に重視されるようになりました。今では、テストの負荷要因として不利な想定までセッティングして、金融機関などがそれに耐えうるかどうか見極めるようになっています。2011年のギリシャの債務危機の際、欧州連合(EU)が実施したストレステストは有名な一例です。

衝撃的な出来事の1つである「ビットコイン市場の崩壊」が及ぼす影響は?

FRBは発表文の中で、「一部評論家は、ストレステストを有効にするため、突出した市場リスクを含めるべきだと強く求め、あるコメンテーターは、すでに経験済みの事象ではなく、北朝鮮との戦争、ビットコイン市場の崩壊、トレーダーの不祥事による大きな損失など、さまざまなシナリオの中に入れるべき衝撃的な出来事に対するストレステストの採用を強く支持した」と述べています。

ショックテストともいうべきストレステストに入れるべき新たな条件の好例が、「ビットコイン市場の崩壊」という訳です。ゴールドマン・サックスは18年8月、ビットコイン価格の下落を予想した上で、それは金融市場に大きな打撃を与えないだろうとの報告書を公表しました。しかし、金融機関は現在、仮想通貨のエコシステムが世界の金融システムにマイナスの影響を与えうるとの見方に変わり始めています。

金融市場とデジタル資産の相関関係は今や無視できない

市場にはもちろん、そうではないとの見方もあります。有力な根拠は、時価総額が僅かに1,300億ドルほどの仮想通貨市場だから、差し迫った脅威にはならいないという見解がある一方、(長期的に見て)デジタル資産と伝統的な金融市場のパフォーマンスの間には強い相関関係があるという考え方が有力になっています。

デジタル資産と金融市場との関係について、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は18年12月末の論説蘭で、伝統的な資産市場とビットコイン間には強い相関関係があるとの見方を詳しく紹介しています。WSJはその中で、ビットコインは金塊との間に0.84(1.00は完全一致)の相関関係を持って取引されているとのExcalibur Pro Inc.の研究データを引用しています。

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参考
CRYPTO GLOBE
Federal Reserve System
富士通総研

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