美術品のコレクション・マーケットは、2022年から2032年の間に6億ドル(約879億円)以上規模を拡大すると予測されています。これは年平均成長率にして19.2%になり、マーケット・ディサイファー(Market Decipher)のレポートによると、NFTの需要が主な触媒となってこの成長を後押しするだろうということです。
NFTにより加速される美術品マーケット
市場調査とコンサルティングを専門にするマーケット・ディサイファーは、2022年10月27日に、美術品とコレクション・マーケットの成長因子について最新の調査結果を発表しました。同社の調査によると、マーケットの規模は2021年の4,020億ドル(約58兆8,900億円)から2032年には1兆ドル(約146兆5,000億円)へと、年平均成長率19.2%で成長すると予測されています。さらに2021年に大きな伸びを示したNFTブームが再燃し、コレクション・マーケットのけん引役になるとも述べています。
2021年にはデジタル・アート業界に一大ブームが巻き起こり、NFTの波はゲームをしながらお金を稼ぐ「Play to earn(プレイトゥアーン)」や音楽、芸術、デジタル・コレクションなどさまざまな分野に広がりました。インドの市場調査企業ベリファイド・マーケット・リサーチ(Verified Market Research)社によると、今後2030年までにNFTマーケットは2,300億ドル(約33兆7,000億円)規模にまで成長すると予測されています。
マーケット・ディサイファーのレポートの中で主任アナリストのチャンドラディープ・シン(Chandradeep Singh)氏は、「美術品のマーケットは依然としてオフラインが優勢なのに対して、NFTプラットフォームでの売上が26億ドル(約3,800億円)に達するなど、ここ数年でデジタルアート・マーケットにも大きな動きが見られた。一方で世界の美術品マーケットの取引高は651億ドル(約9兆5,400億円)だった。オークションハウスやアートのディーラーがデジタル分野を強化したことで、オンラインでのアートとアンティークの売上は大幅に伸び、デジタルアートとNFTのブームはまだ続いている。アメリカと中国、イギリスが世界の美術品マーケットの主役であり、世界の総売上の80%を誇っている」と評しています。
北アメリカがNFTに火をつける
レポートでは、北アメリカが美術品マーケット拡大で重要な役目を果たすと述べられています。アメリカでの高額コレクションへに対する興味の高まりと、コレクション・マーケットにおける小売り機会の増加がその理由です。
またリポートでは、2021年のトップ・オークションハウスの売上について「2021年は公開オークションと個人取引を合わせて、サザビーズが73億ドル(約1兆700億円)でクリスティーズが71億ドル(約1兆400億円)と、ともに総売上を伸ばしている。世界ではポリー・オークション(Poly Auction)、ヘリテージ・オークション(Heritage Auction)、フィリップス(Phillips)がこの2大オークションハウスに続いている」と報告しています。
マーケット・ディサイファーは、アジア太平洋地域の国々が美術品とコレクション・マーケットの中心になっているとした上で、「2021年のクリスティーズの売上のうち31%がアジアのバイヤーによるもので、中国がマーケットの先導役となり、それに続いてインドがあらゆるコレクションのマーケットとして台頭してきている。この成長を支えているのは、ミレニアル世代の市場参入と、コレクターまたは投資家たちの自覚と興味が高まっていることだ」と述べ、これらの国々が今後も重要な役割を演じることになると予測しています。
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