仮想通貨最大手取引所のバイナンス(Binance)のCEO、チャンポン・ジャオ氏(Changpeng Zhao)氏は134の子会社含むFTXグループの破産に伴い、同様の流動性危機を迎えている仮想通貨取引所や仮想通貨企業を潜在的に買収するための「仮想通貨業界復帰ファンド(Indutry Recovery Fund)」を正式に発表。当初10億ドル(約1390億円)としていたものの、追加で10億ドルを投入して合計で2780億円規模となる。

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バイナンスの仮想通貨業界復帰ファンド(Indutry Recovery Fund)

バイナンスのCEO、チャンポン・ジャオ氏(Changpeng Zhao=CZ)氏はFTXグループの破産によるビットコインやイーサリアムなど仮想通貨全体への悪影響、仮想通貨業界への信頼の低下による流動性危機に瀕した連鎖倒産を阻止する目的となる「仮想通貨業界復帰ファンド(Indutry Recovery Fund)」を予定していると発表をしていた。

24日、ブルームバーグに出演したチャンポン・ジャオ氏は

「バイナンスの仮想通貨業界復帰ファンドは10億ドル(1390億円)を用意し、破産や流動性危機の仮想通貨企業の潜在的買収を行う

と述べており、25日になってさらに10億ドル(1390億円)の追加資金を投入することで20億ドル、日本円で約2780億円の巨大ファンドとなることを発表した。

仮想通貨業界の協力

チャンポン・ジャオ氏は中東での仮想通貨業界復帰ファンドの資金調達を行っているというリーク報道を否定。一方で2017年にイーサリアム上でICOを介して資金調達を行ったトロン(Tron)のCEO、ジャスティン・サン(Justin Sun)氏とトロンDAOはこの仮想通貨業界復帰ファンドへの支援を申し出ているという。

既に仮想通貨業界の著名なプロジェクトや企業は5億ドルの資金提供を発表しており

・Jump Crypto
・Polygon Ventures
・Aptos Labs
・Animoca Brands
・GSR
・Kronos
・Brooker Group

が名を連ねている。

ブロックファイやジェネシスの破産危機を救えるか?

特に大きなダメージを受けているのはFTXとの大きな関わりを持っていたレンディング企業であり、レンディング最大手のブロックファイ(BlockFi)はFTXの破産を事前に知ってか11日に出金や売買サービスの提供を停止、利用者からは怒りの声が上がっている。

また仮想通貨最大手ブローカレッジであり、レンディングユニットを持つ「ジェネシス(Genesis)」も引出しと新規ローンを停止している。この影響でウィンクルボス兄弟の仮想通貨取引所「ジェミニ(Gemini)」でもレンディングであるGemini Earnがジェネシスを利用していたことから同様に引出しが停止している。

顧客の預かり資産を運用することで利益を出すモデルであるレンディングにおいて、FTX破産の影響は資金拘束や融資などの連鎖的な影響から流動性危機に瀕しているということがわかる。

バイナンス仮想通貨業界復帰ファンドには既に150社を超えるコンタクトが来ているとされており、これらの中にブロックファイやジェネシスが含まれているかは不明だ。今年7月仮想通貨ヘッジファンド最大手のスリーアローズキャピタル破産による連鎖倒産時にはなかったことから、業界全体の危機感と対策で破産を未然に防げればFTX破産による影響を緩和できるだろう。

 

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