
世界中で政府系ファンドや行政ファンド、大学や年金基金が、暗号通貨・ブロックチェーン関連企業に投資をする動きが出始めています。
日本では、政府や大学が運営をするファンドは伝統的な市場のみに投資をするような印象を持たれるかもしれませんが、そもそも、アメリカの大学のファンドなどではテクノロジー領域やスタートアップ企業に日本より遥かに積極的に投資をしているという背景があります。
それが暗号通貨領域にも現れていると言っていいでしょう。
本コラムでは、世界中の政府系ファンドや大学基金が、暗号通貨に投資をした事例を紹介します。
暗号通貨業界に投資をした事例6つを紹介
Coinbase(コインベース)に投資をするGIC Private Limited
シンガポールの政府系ファンドのGIC Private Limitedは、大手取引所を運営するCoinbase(コインベース)の2018年10月シリーズEラウンド3億ドル(約335億円)の調達に参加しました。
参照:Bloomberg
Binance(バイナンス)に投資をしたVenture Holdings
同じくシンガポール政府系ファンドのVenture Holdingsは、2018年10月にBinacne(バイナンス)に投資をしました。同ディールは、Vertex ChinaとVertex Southeast Asia and Indiaとの共同出資で、シンガポールや東南アジア地域の仮想通貨取引所の開設を支援する目的であるとしています。
参照:coindesk
イエール大学から2つのクリプトファンドへの投資
イエールのバフェットとも呼ばれるデイビット・スウェンセン(David Swensen)氏が運用する大学基金から、2つのクリプトファンドに投資をしています。a16z cryptoと、coinbaseの元共同創業者のフレッド・エサン(Fred Ehrsam)氏が立ち上げたパラダイムです。
参照:CNBC
Morgan Creek(モーガンクリーク)のVCに年金基金が投資
モーガンクリーク(Morgan Creek)のVC(ベンチャーキャピタル)に、バージニア洲のPolice Officer’s Retirement SystemとEmployees’ Retirement Systemが投資をしました。いずれも年金基金です。
参照:coindesk
韓国ソウル市、ブロックチェーンファンドを設立予定
2022年までに韓国のソウル市は、ブロックチェーンファンドを組成する予定であると発表しています。ソウル地区のブロックチェーン領域のスタートアップに投資するために、1,000億ウォン(約100億円)規模のファンドを設立する予定です。
中国杭州市、ブロックチェーンファンドを設立
中国杭州市は、2018年3月に100億元(約1,660億円)のブロックチェーンファンドを組成しました。政府が関連するブロックチェーンファンドとしては、世界最大の規模のものとなります。杭州雄岸投资管理有限公司将负责基金管理工作(杭州政策投資会社)とINblockchainが合弁で、このファンドを設立します。
INblockchainは、EOS(イオス)やQtum(クオンタム)などに投資を行ってきたファンドです。
拡大するブロックチェーン規模、今後も注目
以上が主な事例です。すでに世界の公的資金が暗号通貨やブロックチェーンに流れ始めていることが理解できると思います。
一般的に、このような年金基金などは時間をかけてデューデリジェンスを行って投資を決定します。つまり、そのくらいのファンダメンタルをブロックチェーン業界は獲得したとも言えます。
一方で、年金基金などの中でも大型のものは未だ暗号通貨やブロックチェーンに手をつけていません。しかし、それらのニュースが出るのはこれから数年以内でしょう。
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