ビットコイン「ライトニングネットワーク」上のDEX、ベータ版稼働開始|即時クロスチェーン取引も可能に
ライトニングネットワーク上のDEX、公開ベータ版が稼働開始
ビットコインのライトニングネットワーク上に構築された分散型取引所が公開ベータ版をローンチした。「アトミックスワップ」を活用することで、DEXでありながらも中央集権型の取引所と遜色ない速度で取引が可能であるという。
ライトニング・ネットワークとは
日常的な細々とした支払い/決済(マイクロペイメント)を、ビットコインを使ってより手軽に行えることを目的とした、ビットコインのセカンドレイヤーで機能するオープンソースプロトコル。2015年に研究者のタデウス・ドライジャ氏とジョセフ・プーン氏が発案し、ホワイトペーパーで公表した。

CoinPost:仮想通貨用語集

LN上のDEX「Sparkswap」公開ベータ版が稼働開始

バイナンスやOKExなどの大手仮想通貨取引所が、それぞれ独自開発したブロックチェーン上で分散型取引所(DEX)の展開準備を進める中、ビットコインのライトニングネットワーク上に構築されたDEX「Sparkswap」は4月8日、メインネットで公開ベータ版をローンチしたと発表した。

米サンフランシスコに拠点を置くSparkswapは、ビットコインのスケーラビリティ問題解決策として期待されているライトニングネットワーク(以下LNと表記)が、クロスチェーン(異なるブロックチェーン間をまたぐこと)の高性能アプリとしても画期的な技術であることを確信し、2018年2月から開発を行ってきたという。

  

LNは、ペイメントチャネルというオフチェーン(ブロックチェーンの外)で取引を管理する仕組みを用いたセカンドレイヤーを活用した技術である。

連続した取引における最初と最後の取引のみをブロックチェーンに伝達、それ以外をオフチェーンで処理することによって手数料の大幅な低下や取引の高速化が可能となる。

そのような取引の低コスト化と高速化から、マイクロペイメント(少額決済)としての利用にも注目が集まるが、アトミックスワップと組み合わせることで異なるブロックチェーン間(互換性)の仮想通貨取引に活用することもできる。

なお、アトミックスワップとは、取引所など第三者の仲介なしに異なる仮想通貨の交換を当事者間で安全に完結できる技術を指す。

取引は、双方が設定した条件が満たされた場合は同時に実行され、条件が満たされない場合は一定時間後に当事者に全額返金される仕組みとなっている。そのため、不正取引のリスクは大幅に軽減できる。

また、ユーザー自身が資産ならびに秘密鍵の管理を行う、非カストディ型の取引を特徴としている。

なお現在のところアトミックスワップに成功している仮想通貨は、ビットコインやライトコインをはじめ、Decred、Vertcoin、Viacoin、Monacoin、Bitcoin Cash、Particl、Qtum、Zcoin、VIPSTARCOINといったアルトコインがある。

Sparkswapが展開するDEXは、まさにこのアトミックスワップという仕組みを活用し、ユーザーの資産管理を他者に委ねる必要のないDEXでありながらも、取引のスピードという面では中央管理型の取引所に引けを取らないレベルで実現できるという。

今回公開されたSparkswapのベータ版は、ビットコインライトコインの通貨ペア取引を対象とし、トランザクションの規模は現在のところ、一日2500米ドル(約27万円)に制限されている。

Sparkswapは複数の取引所間で取引を行うプロトレーダーやセミプロ向けに設計されており、より金額の大きいトランザクションをサポートし、異なるユーザー層を獲得することで、現在はほとんどが少額決済に使われているLNの利用率を高める効果も望めるという。

 

Sparkswapの設立者Trey Griffith氏は、取引はあらゆる金融システムの基本的な構成要素であり、ユーザー自身が資産の管理を行える取引方法を構築することは仮想通貨が次世代の金融システムとなる可能性を実現するために重要だと述べている。

そして、このような非カストディ型の取引を可能にするSparkswapのビジョンは、Initialized Capital、Pantera Capital、Foundation Capital、Y Combinatorなどの大手投資企業から支持を得て350万ドル(約3.9億円)の資金調達に成功している。

Griffith氏は、これからの展開として、LNにおけるビットコインの容量を増強することに加え、ステーブルコインやイーサリアムをベースとした資産のサポートを統合することを検討していると語った。

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