トークンエコノミーによって、良いコンテンツが評価されるSNSをつくるRelevantとは?
出典:Relevant公式ブログ

トークンを使ったレピュテーションができるSNSのRelevant(レリバント)のベータ版がローンチしました。Relevantは、クリックの数ではなく良いコンテンツが評価されるキュレーションSNSを志向するプロジェクトです。コインベース・ベンチャーズ(Coinbase Ventures)やコインファンド(Coinfund)のほか、複数のエンジェル投資家から資金調達をしています。

Relevant(レリバント)の仕組みとは?

Relevant内では、テクノロジーやAIなどトピックごとにコミュニティが存在します。この各トピックごとのコミュニティでは、ユーザーのヒエラルキーが存在します。ユーザーは、各投稿に対して、良い評価と悪い評価の投票できますが、各ユーザーによって投票の重みは異なるものになっています。その投票の重みは、ユーザーのレピュテーションによって判断されます。

Relevantイメージ
出典:Relevant

これまでのWeb2.0のSNSでは、よりたくさんのクリック数があるコンテンツや、よりいいねを集めたコンテンツが評価をされ、検索結果やタイムラインの上位に表示されていましたが、Relevantではこの点が異なります。

各コミュニティでは、よりレピュテーションポイントを集めた投稿が評価され、各コミュニティにはレピュテーションを集めたユーザーが管理人につくというシステムを採用しています。レピュテーションはロックアップ期間を経て、自動的にRelevantのコインに変換されます。このコインは、イーサリアム(Ethereum)上のERC20で、ウォレットに引き出すことができます。

Relevantの課題、コンテンツの良さを評価するコンセプトの難しさ

Relevantのようなコミュニティによって本当に良いコンテンツが評価されるSNSを作るという動きは、ブロックチェーン業界では以前からあります。似たコンセプトのSNSを志向するブロックチェーンプロジェクトとして代表的なものはスティーミット(Steemit)や、日本国内発のプロジェクトにおいては、アリス(ALIS)が存在します。レピュテーションが高いユーザーから高評価の投票をされると、コインがもらえるという仕組みは、おおよそSttemitと同じです。

これらのプロジェクトが抱える課題は、トークンのユースケースが希薄なことです。SteemitではコインをステーキングしてSNSに参加、ALISでは基本的にはALIS上の投げ銭のためのコインです。Relevantは、この課題を解決しているかというと、そうでもなく、ほぼ同様の問題を引き継いでいるように見えます。少なくとも執筆時点において、Relevantで得られたコインの使い道や、価値定義の設計についての説明はありません。

現時点において、ベータ版ではあるので、今後に期待されるところですが、このようなコンセプトのSNSの設計は簡単ではありません。良いコンテンツが評価される仕組みをブロックチェーン上のトークンなどでゲーム理論的にデザインする手法には、他には、Token Curated Registry(TCR)などの提案もされていますが、まだプロダクションレベルでは実現していません。

参考:Token Curated Registry(TCR)。分散的にメディアやレジストリを管理することの実現性

ただし、このような取り組みは多く行われ、いずれ実際に機能するモデルが出るのではないかと筆者は考えており、注目している分野の一つです。

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