
ブレイブ(Brave)ブラウザはプライバシーが重視されたブラウザで、そのブラウザを通した世界ではトークンを用いた新しい広告入札システムが構築されています。ベーシック・アテンション・トークン(BAT)とBraveブラウザについては、こちらのレポートで紹介しています。
2019年4月に、広告主はBraveユーザー向けに広告を出せるようになり、その表示に応じてユーザーがリワードを貰える仕組みが公開されました。
Braveブラウザをビットコイン(BTC)対応の仕様に
このBraveブラウザの興味深いコピーモデルが登場しました。BATトークンを組み込み、広告を閲覧した人がリワードを受けることができるBraveブラウザですが、そのブラウザのコードを用いて、コピーブラウザが立ち上げられました。
異なる点は、BATトークンが組み込まれておらず、ブロガーやサイト運営者に対してビットコイン(BTC)の投げ銭ができたり、その他BraveブラウザがBATを用いて行っていることを、全てライトニングネットワークで代替しようとしている点です。
以前から、BraveブラウザのBATトークンに付きまとう批判は、ユーザーが投げ銭したり広告を出稿する際に、いちいちBATトークンを取引所で購入してウォレットに移す必要があり、ユーザー体験を毀損しているというものです。そういった交換の媒体には、より多くの人が保持をするBTCやイーサリアム(ETH)が使われるべきで、独自トークンを発行していることは資金調達が主目的であるという否定派がいます。
単純なユーザー体験の一点で見れば、ということは注釈する必要がありますが、保持する人の多い通貨を採用した方が便利だろうということは筆者も同じ意見です。こういった指摘については、過去の記事でより詳しく取り上げています。
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なお、今回のフォークを行ったプロジェクトは、ギャブ(Gab)というSNSを運営する母体であり、オルタナSNSの代表格です。Gabは、Facebookに代表をされるようなポリティカルコレクトネスを批判し、誰もが言いたいことを言えるフリースピーチを掲げ運営されています。また、創業者のアンドリュー・トーバ(Andrew Torba)氏は、反シリコンバレーの立場を取ったり、トランプ支持を公言したりするなど、メディアを騒がせることも多い人物です。
コピーに対する防御性になり得るネットワーク効果
オープンソースソフトウェアのコピーに対する防御性になり得る一つの要素は、そのソフトウェアが持つネットワーク効果であるとよく説明されますが、Braveがそのネットワーク効果を獲得しているか、またはBATトークンを利用する経済圏がより優れた体験を提供できるかは注目されています。
Braveブラウザは、500万人以上の月間アクティブユーザーが利用しています。広告を提供するサプライヤーとして、下記が一例になりますが、他にも多くの企業が登録しています。
- ヴァイス(Vice)
- ホーム・シェフ(Home Chef)
- コンセンシス(ConsenSys)
- テルニオ・ブロックカード(Ternio BlockCard)
- マイクリプト(MyCrypto)
- イートロ(eToro)
- バイセルアド(BuySellAds)
- TAPネットワーク(TAP Network)
- ザ・ギビング・ブロック(The Giving Block)
- エアスワップ(AirSwap)
- フルイディティ(Fluidity)
このように多数の企業が広告を提供していることから生まれるネットワーク効果こそ、Braveのオープンソースソフトウェアとしての防御性であると筆者は考えており、コードをコピーしたとしても、Braveより魅力的なプロジェクトに仕上げることは、決して簡単ではないのが明白です。
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