ネム(NEM)カタパルトのDragonアップデート、内容と機能が発表!

2019年6月4日にネム(NEM)の次世代ブロックチェーンとなるカタパルト(Catapult)のアップデートが発表された。カタパルトアップデートはバージョンごとにコードネームがつけられている。今回のアップデートによるコードネームはドラゴン(DRAGON)だ。

なお、カタパルト開発ロードマップについては、2019年3月29日に発表されており、ロードマップにのっとり開発が進められている。ロードマップについては、こちらの記事を参照してほしい。

関連:ネム(NEM)カタパルトのロードマップが発表!今後の展開を解説!

ロードマップ発表時の内容どおり、2019年6月時点でのDRAGONへのアップグレードが進められているようだ。DRAGONはどんな機能となっているのだろうか。発表内容を確認していきたい。

ネム(NEM/XEM)のリアルタイムチャート

DRAGONアップデートイラスト
出典:NEM.io財団によるカタパルト DRAGON開発マイルストーンについて
(作:Twitterネーム@mahomuncha氏)

DRAGONアップデートで追加される機能とは

ハーベストのリワードの分配が可能となる

NEMのブロックチェーンには、ハーベスティングと呼ばれるプロセスがある。このプロセスは、分散型のシステムであるブロックチェーンネットワークを動かす上で重要なプロセスだ。

ハーベスティングは、ネットワーク内のデータのやり取りにあたるトランザクションを承認する機能となる。ノードがトランザクションをまとめたブロックを作成し、その内容を承認することで、NEMの分散されたブロックチェーンネットワーク維持の対価としてリワードを受け取ることができる。

分散されたネットワークを動かすためには、誰かがトランザクションを承認しなければならない。そのため、ノードとしてネットワークに貢献してもらえる人にリワードを与え、相互に関係を保っている仕組みだ。

DRAGONへのアップデートにより、ハーベスト報酬の仕組みが変更となる。ノードが受益者用にパブリックキーを設定することで、リワードの分配が可能となる。分配される割合は、ノードオーナーが設定し各ネットワークでその数値を調整できる。

ハーベスト受益者分配の仕組み
出典:NEM.io財団によるカタパルト DRAGON開発マイルストーンについて(Googleスプレッドシート形式)

ノードオーナーが、ハーベストの受益者を設定する。ネットワークでは、受益者が10%のリワードを受け取る設定の場合、ノードがコンセンサスアルゴリズムに選ばれ、ブロックが作成される際に、ノードオーナーに90%、受益者に10%のゼム(XEM)が送られることになる。この機能を通して、フルノードを運営することによるインセンティブが生まれる。これは、安定したNEM(ネム)のブロックチェーンネットワーク設立につながることになる。

時間の経過とともに通貨の供給を増やすことが可能に

従来のNEMブロックチェーンでは、ネットワーク基軸通貨の総供給設定をしてからではないとブロックチェーンネットワーク上のトークンであるモザイクの発行はできなかった。カタパルトDRAGONからは、通貨の供給を時間の経過と共に増やす設定が可能となる。

このインフレ設定を使うことで、モザイク発行者はブロック毎に発行されるモザイク数を設定することができる。モザイクが発行される割合は、ブロック高により変更可能だ。モザイク発行者は、インフレの調整をすることができる。

インフレ機能に加え、インフレにより発行されたモザイクがハーベスト報酬の計算に含まれるようになる。インフレで発行されたモザイク数を含めたハーベスト報酬を受取ることが可能となる。これにより、さまざまな経済モデルのニーズに応えるシステム構築が可能となる。

モディファイマルチシグトランザクション(MMT)

モディファイマルチシグトランザクション(MMT)は、以下の用途のために使用される。

  1. アカウントをマルチシグアカウントに変更するため
  2. 既存のマルチシグアカウントのプロパティを変更するため

DRAGONから、MMTはアグリゲートトランザクションに送らなければいけない。マルチシグの各署名者が全員同意することで成立する。必要な署名が揃わない限り、本アグリゲートトランザクションはブロックに含まれず、署名者の追加は認識されない。

以前のMMT機能では、署名者でいられるアカウント数が限られていた。また、定数の合意を得ずに、署名者の除外ができなかった等の問題があった。

モディファイマルチシグトランザクションの仕組み
出典:NEM.io財団によるカタパルト DRAGON開発マイルストーンについて(Googleスプレッドシート形式)

クロスネットワーク・リプレイプロテクション

DRAGONでは、クロスネットワーク・リプレイプロテクションの追加によりセキュリティ対策を強化した。NEMネットワークの識別子は1バイトのみであり、それ以上のネットワークができると、重複することがある。今までのNEMは、2つのアカウントが同じ識別子を共有している場合、アカウント間のトランザクションはお互いのネットワークでしかリプレイできなかった。

その他マイナーアップデート

  1. ハッシュロックトランザクション(エイリアスモザイクでハッシュロックトランザクションが可能となる)
  2. シークレットロックトランザクション(シークレットトランザクションは受取人が異なる宛先であれば、シークレットの再使用が可能となる)
  3. カタパルトブローカープロセス(自動的にMongoDBとZMQに変更される)
  4. カタパルト回復プロセス(サーバーが制御できないエラーでクラッシュした場合、以前の状態にリストアされる)

より実用性を増したNEM

DRAGONへのアップグレードで主要となるのは、ハーベスト受益者の設定と発行するモザイクのインフレ設定だ。ハーベスト受益者の設定は、NEMブロックチェーンネットワークを安定維持するために必要なフルノード参加者を増やすきっかけとなる。

また発行するモザイクのインフレ設定は、既存のビジネスに応用可能なフレキシブルなモデルとなるのではないだろうか。一般的にデフレ通貨となっている暗号通貨では、それぞれに通貨総発行量が決まっている。故に、通貨が貴重に感じすぎてしまうために、その暗号通貨やトークンを使い経済が回るようなネットワークが作りづらいとも考えられる。適度なインフレ通貨では、消費が拡大する見解もある。暗号通貨やトークンによる経済を大きくするために、この機能の選択は面白い。ユニークな経済モデルが生まれるかもしれない。

ブロックチェーンを使ったサービスやアプリケーション開発者は、これらの機能の優位性も捉えていきたいところではないだろうか。

余談ではあるが、今回DRAGONのアップグレード発表資料で、ドラゴンのアートワークに目が止まった。これは日本のNEMコミュニティの中で活躍する@nembear氏と共にアートワーク部門で活躍している@mahomuncha氏の作品である。色使いとタッチが綺麗で魅了される作品ばかりだ。

カタパルト時期バーションコードネームは、エレファント(ELEPHANT)となっている。次はELEPHANTにちなんで、ゾウが描かれるのだろうか。こういったアートワークもブロックチェーンや暗号通貨を楽しめる1つだ。ぜひ、ブロックチェーンに載せたアートワークでの個展等もできたら面白いのではないかと思う。

ネム(NEM/XEM)の価格・相場・チャート

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参照
NEM.io財団によるカタパルト DRAGON開発マイルストーンについて(Googleスプレッドシート形式)

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