大型アップデートを10月に予定
イーサリアム(Ethereum)の2019年後半に行なわれる大型アップデートにどのような要件が含まれるかが、おおよそ決まりました。イーサリアムは定期的に双方互換性のないクライアントをリリースして更新するアップデート、つまりハードフォークを繰り返して、ソフトウェアが更新されています。
この次期アップデートが、イスタンブール(Istanbul)というハードフォークで、2019年10月にスケジュールされています。なお前回のアップデートであるコンスタンティノープル(Constantinople)は、2019年3月に行なわれました。
Istanbulに含まれるEIPは、2019年5月17日に決定しています。EIPとは、イーサリアム・インプルーブメント・プロポーザル(Ethereum Improvement Proposals)の略で、日本語訳するとイーサリアムの改善提案という意味となります。EIPにはコアプロトコルの仕様やスマートコントラクトの基準などに関する提案があり、その提案を基に改善方法のドラフトが書かれ、そのあとコードが実装されるというようなプロセスが大まかにとられています。
Istanbulは以後、7月にクライアントをリリース予定、8月にテストネットのアップデート、10月にメインネットでハードフォークを行うというスケジュールになっています。もちろんこのスケジュールは、開発状況により遅れる可能性も大いにありえますが、現時点で含まれるEIPは決定しており、どのようなアップデート内容かは確認できます。
Istanbulで改善される主な要件
IstanbulのEIPには29個が含まれており、全ては網羅できないため、重要性が高いものを抜粋します。なお要件を整理しますが、その中の一部要件の開発実装が間に合わず、今回のアップデートに含まれない、ということもありえます。
EIP-615: Subroutines and Static Jumps for the EVM
EIP-615は、イーサリアム・バーチャルマシン(EVM)のコードの実装の分析を今より容易にする提案です。
EIP 1057: ProgPoW, a Programmatic Proof-of-Work
EIP-1057のプログラマティック・プルーフ・オブ・ワーク(ProgPoW)は、特定用途向け集積回路(ASIC)より中央処理装置(GPU)にフレンドリーなPoWの仕様変更のアップデートです。これについてはさまざまな議論が巻き起こりましたが、次期アップデートで実装される見通しであると考えてよいでしょう。
関連記事:活発化するイーサリアム(Ethereum)のマイニングアルゴリズムのアップデート議論
EIP 1108: Reduce alt_bn128 precompile gas costs
匿名トランザクション機能におけるガス(Gas)のコスト削減案です。
EIP 1559: Fee market change for ETH 1.0 chain
トランザクションの手数料計算モデルが変更される予定です。コストが若干安くなるとともに、またGas価格が予想しやすくなるとされています。
他にも重要なEIPが複数ありますが、内容は下記リンクから確認できます。今後のイーサリアムの開発方針が分かるため、興味のある方は一度ご覧ください。
【こんな記事も読まれています】
・イーサリアム(Ethereum)のDAppsユーザーの実態が明らかに!Metamaskが統計データを発表
・イーサリアム(Ethereum)のブロックチェーンをベースとした証券取引所がバーレーンで開設
・イーサリアム(Ethereum)の情報はここに!開発者向けのサイトを紹介!
参考
・Ethereum Wiki
・Ethereum Improvement Proposals①(EIP-615)
・Ethereum Improvement Proposals②(EIP-1057)
・Ethereum Improvement Proposals③(EIP-1108)
・Ethereum Improvement Proposals④(EIP-1559)
d10n Labのリサーチコミュニティでは、ブロックチェーン業界の動向解説から、更に深いビジネス分析、技術解説、その他多くの考察やレポート配信を月に20本以上の頻度で行なっています。
コミュニティでは議論も行えるようにしており、ブロックチェーン領域に積極的な大企業・スタートアップ、個人の多くに利用頂いています。
▼d10n lab 未来を思考するための離合集散的コミュニティ
https://d10nlab.com