- ビットコインと仮想通貨リブラの違い
- フェイスブック社の仮想通貨リブラが誕生してもビットコインの優位性は保たれる。なぜ敵対しないか、ビットコインとの違いとリブラ普及の条件をブライアン・ケリー氏が解説した。
ビットコインと新発表の仮想通貨リブラ|違いを徹底解説
米国の著名投資企業BKCM社CEOのブライアン・ケリー氏は米18日、フェイスブック社の仮想通貨リブラとビットコインとの違いをCNBCの投資番組「」で語った。ケリー氏はリブラを「ドル・円・ユーロなどのデジタル版」と一般人に理解しやすい表現で説明すると共に、フェイスブックの仮想通貨業界参入の影響を解説した。
フェイスブック社が仮想通貨を発行することで、主にパブリックチェーンで稼働するこれまでの仮想通貨のシェアを奪うのではないかとの懸念は、投資家の大きな話題となったが、ブライアン・ケリー氏は、業界にとって極めて重要な一歩だと考えているという。
これはリップル社のCEOガーリングハウス氏や米投資アナリスト トム・リー氏と同様の意見で、これまで偏見的にあった一般社会の考えを改めさせる事例となると見ている。また、すでにGAFAの一角としてプラットフォームを有するFacebookに導入されることによる、仮想通貨特有の参入障壁(ウォレット作成など)の変革に繋がると考えている。
複数の法定通貨などによって価値が担保されるリブラをステーブルコインに近いとしつつも、リブラの一般普及には、三つの必要条件があると言及。
- フェイスブックなどノード管理企業(バリデータ)が資産を適切に管理するということ
- ノードを管理する企業らが台帳を適切に管理するという点における信用
- リブラが価値を持つことに対する信用
ビットコインとの相違点
これらの点を踏まえて、ビットコインとリブラの違いは第三者機関に対する信頼の有無だとケリー氏は述べる。
結論から述べると、リブラを国などの特定機関によって発行される通貨に似た「ドル・円・ユーロのデジタル版」だと考え、ビットコインは特定機関が存在せずに価値を担保する金に似た「デジタル版ゴールド」だと考えているという。(実際の金より優れていると考えている)
これには、リブラを購入するためにはまずフェイスブック社側に自分の法定通貨を一定額預けることで、法定通貨の性質を保ったステーブルコインに似た通貨の形態をとり、その信頼が特定機関に依存していることがあげられる一方で、ビットコインはブロックチェーン、およびそれを可能にする暗号学と数学に信頼が置かれているため、第三者特定機関を経由しないP2P取引を可能にする大きな違いがあると指摘した。そういった点から、リブラが出てきた中でもビットコインは既存のシステムを逸脱していると解説した。リブラが誕生してもビットコインには大きな優位性があると指摘する意見だ。
フェイスブック社が仮想通貨発行に携わる影響力
さらにケリー氏はフェイスブック社が新たに仮想通貨を発行することの影響力についても考察、以下の2点を重要な特徴に挙げた。
- 実質的に取引手数料ゼロの国際送金
- 大手企業からのサポート
既存の企業送金との相違
世界で未だに銀行口座を持たないユーザーでも利用可能な通貨を目指す仮想通貨リブラの比較対象は既存の大手送金企業PayPalやVenmoだろう。これらのプラットフォーム簡潔な送金を可能にしているが、そのような企業とリブラが相違する点として挙げられるのは取引手数料が実質的にゼロである点だとケリー氏は考えている。
国際送金が実質的に手数料ゼロとなれば、現在国際送金を提供する企業は手数料をゼロにせざるを得ない競争が生まれるが、インターネットの普及でビジネスが国際化する中で、需要は拡大する可能性はある。
大手企業のサポート
フェイスブック社から発表されたリブラの事業計画書(ホワイトペーパー)にて明らかになった情報では、ビザ、マスターカード、コインベースなど大手企業28社がノード管理者として参加を表明している。
- フェイスブック
- ペイパル
- コインベース
- マスターカード
- ビザ
- リフト
- イーベイ
- スポティファイ
- ザポ
このように送金事業において名を馳せている企業から着目されていることから、フェイスブック社のリブラはブロックチェーン技術や仮想通貨に対して注目をもたらすと期待されている。
リブラのローンチはインターネット時代のAOLに例えられる。
AOLがかつてインターネット初期にユーザー拡大につながったと同様、リブラは仮想通貨のユーザー拡大に貢献するだろう。