ブロックチェーン技術開発に熱心なマレーシア政府はこのほど、ブロックチェーン・プロジェクトを支援してくれる外国人エンジニアに短期ビザを発給する新しい計画を発表しました。マレーシア政府はまた、食料供給チェーンを追跡するためにブロックチェーン技術を利用する計画を発表するとともに、エネルギーと農業分野でブロックチェーンベースのソリューションを開発する計画です。
マレーシアはスタートアップや投資家受け入れる戦略的立地と多様な文化を誇る
マレーシア政府は首都クアラルンプールで6月17日から21日まで開かれた「マレーシアテクノロジー週間(MTW19)」で、特にブロックチェーン技術開発プロジェクトにスキルのある外国の技術者フリーランサーを募集するため、短期ビザ発給プログラムを発表しました。
MTW19は、企業のナレッジグループとマルチメディア開発の政府機関のマレーシア・デジタル・エコノミー・コーポレーション(MDEC)の共催で開かれ、MDECのノルヒザム・アブドゥル・カディル(Norhizam Abdul Kadir)エコシステム成長・開発担当バイスプレジデントは「われわれはブロックチェーン技術職の募集で短期ビザ発給計画を開始する」と宣言しました。
MDECのスリナ・シュクリ(Surina Shukri)最高経営責任者(CEO)は「マレーシアは戦略的な立地と多様な文化を持ち、東南アジアにあって長年外国のテクノロジー投資の対象になってきた。われわれは世界に多くのものを提供できる急成長中の技術エコシステムを持つ国家であり、世界中から技術スタートアップ企業、投資家などを受け入れたい」と語りました。
先行するシンガポールに追いつく人材募集を意識
短期ビザ発給プログラムは、シンガポールのブロックチェーン普及を支援するNEM財団(NEM Foundation)とエストニアのジョブ開発プラットフォームのジョバティカル(Jobbatical)の支援を得て発足します。NEM財団は、雇用される人材のスキルの評価を支援し、ジョバティカルは海外市場の人材供給を支援します。
マレーシアは1980年代ごろから、テクノロジー開発に熱心に取り組んできました。例えば、マレーシア政府肝いりのインキュベーション施設であるMaGIC(Malaysian Global Innovation & Creative Centre)がその代表的なもので、首都クアラルンプール郊外やペナンなどには、ハイテク工業団地が林立しています。その中でマレーシアはこの数年、ブロックチェーン開発に取り組んでいますが、熟練した人材不足に直面しています。
熟練労働力アカデミーグループのSG Education Groupの創業者兼会長のスリ・ガネッシュ(Seri Ganesh)氏は国営ベルナマ通信とのインタビューで、マレーシア政府の対策の遅れを指摘し、「必要な熟練労働力を用意する観点から言うと、インドネシアやシンガポールは労働者を教育する特別プログラムを持ち、マレーシアのはるかに先を行っている」と語っています。
マレーシアはデジタル移行に腐心
シンガポールは高度人材受け入れ策として、低・中・高技能労働者向けの労働許可証を発給、さらに高技能労働者の内トップクラス向け雇用許可証とを区別しています。タイは高い技能を持つ外国人に対して発行するスマートビザ(SMART visa)で区別し、香港は「テクノロジー・タレント・アドミッション・スキーム(TechTAS)を導入しています。
Tech Wire Asiaによると、マレーシアはブロックチェーン・ビザ計画によって、「デジタル移行(Digital Transitions)」を独自に加速する有利な立場になり、例えば計画中のパーム油の輸出や果物、野菜の輸入などの信頼性と透明性を高めることができます。新しいテクノロジー・ビザ発給計画は、マレーシアの意欲的な「デジタル移行」を促進することになります。
参考
・Malaysia introduces new tech visa to attract blockchain talent
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