ビットコイン(BTC)は「安全な逃避先」、中国の姿勢に変化の兆しか

米中貿易摩擦の先行きがまだ見えない中で、中国は暗号資産(仮想通貨)に対する厳しい規制を緩和するのではないかという兆しを見せています。中国は米中貿易戦争を克服する解決策として、ビットコイン(BTC)取引を少なくとも黙認するとの観測が出ています。

ビットコイン(BTC)のリアルタイムチャート

ビットコイン(BTC)はセーフヘブン資産として中国内の投資意欲増大

中国国営新華社通信は2019年6月26日のオンライン版で、仮想通貨に関する分析記事を掲載、ビットコインは「安全な避難先(safe-haven)」の資産と表現して、中国人投資家や富裕層が米中戦争の先行きを嫌って仮想通貨に留まらず米ドル(USD)すら購入して、人民元から逃避しているという実態をありのままに伝えています。新華社は政府の政策をそのまま反映することで知られています。

新華社の記事は「ビットコインは安全な避難先との特質を表し、多くの投資家を引き付けている」と表現して、「今年初め以来、経済・貿易紛争の激化や世界経済の成長率が下方修正される見込みなど、さまざまな要因が重なって、世界の資本市場のボラティリティ(価格変動)が高まっている」と分析しています。

また記事では、「Facebookの仮想通貨リブラ(Libra)発行の発表は、仮想通貨市場の人気を一段と高め、市場への新たな投資家参入の引き金にもなろうとしている」との記述もあります。

世界的な流動性危機のリスクヘッジとしてのビットコイン(BTC)に再注目

中国は2017年、国内でのICO(イニシャル・コイン・オファリング)とビットコイン取引を禁止するという思い切った政策を実施しました。中国はまた、ビットコインの国内マイニングを認めず、最大量のマイニングを誇ってきた中国のマイナー(採掘事業者)が海外に本拠地を移すという動きが続きました。

世界最大手仮想資産運用会社グレイスケール・インベストメンツ(Grayscale Investments)は最近、世界的規模の流動性危機に備えるヘッジとして、ビットコインンへの投資を推奨するとのリポートを公表しています。

新華社通信は併せて、「投資家は、ビットコイン市場にある投機リスクに警戒しなくてはならない」と注意も促しています。

中国ではプレミアム付きビットコイン(BTC)が出回り、取引価格が上昇中

新華社の記事の「今年初め以来、ビットコインはセーフヘブン資産の特質を示し、多くの投資家の関心を集めている」という箇所は、中国人の仮想通貨支持者の声を代弁するかのような表現でした。

利にさとい中国人が新華社通信の報道に座視している訳はありません。トランプ米大統領が中国からの輸入品に高い関税をかけると警告するたびに、中国人はその唯一の回避策としてビットコインを買い占めてきた事実が指摘されています。

中国が仮想通貨の厳しい規制を緩和するのではないかという兆しは、米中貿易摩擦が激化するとともに現れ始めました。仮想通貨サービス企業ブロックチェーン(Blockchain)のリサーチヘッドであるギャリック・ハイルマン(Garrick Hileman)氏は「中国では貿易上の関心事に対する懸念から、(仮想通貨に対する)需要が高まっている。プレミアム付きビットコイン(BTC)が出回り、それにつれてビットコインの価格上昇の火が付いた」と述べています。

ビットコイン(BTC)の価格・相場・チャート

参考
China Calls Bitcoin ‘Safe-Haven Asset’ As Global Economic Tensions Rise

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