月をトークン化して販売するプロジェクト「ダイアナ(Diana)」が誕生

アポロ11号の月面着陸から50年、月をトークン化して不動産売買・登記しようという途方もない事業計画が明らかになりました。プロジェクトの開発者は、月の所有権と利用上の責任を(人類で)共有するとい宇宙条約の精神に沿って、中央管理者不在の自律的組織DAO( Decentralized Autonomous Organization =自律分散型組織)を設立します。

月を未開発不動産としてトークン取引によって登記者を募集

アポロ11号月面着陸50周年の2019年7月20日、野心的なスタートアップ企業「ダイアナ(Diana)」が誕生しました。ダイアナは月を未開発不動産に見立てて、人類の自発的な集団参加となる「月面登録(登記)」サービスを提供します。

ブロックチェーン技術を利用して月面を1区画9790平方メートルに分割して、合計38億7,420万4,892区画を造成します。当面、地球に向いた月の片面の20億区画を発行、区画ごとに所有権を保証する登記トークンのDIAを発行して、データベース化します。取引には取引トークンのMONDが発行されます。

ダイアナはまたブロックチェーンを利用して、責任を持って月を管理する一助となるDAOを設立します。DAOを介して人類の集団的参加を促し、約38億区画が登記されたことを証明する登記トークンが発行されます。

特定の国家による月面所有は禁じられるが、DAOによる財産権行使は可能

ダイアナ設立のホワイトペーパーによると、設立の趣意は以下のようになります。

「1967年に批准・発効した国連の宇宙空間の探査と利用に関する条約(宇宙条約)は、月など宇宙空間の天体を『人類共通の遺産』」と位置づけ、「月およびその他の天体を含む宇宙空間は、主権の主張、使用または占有、その他の手段による国家の処分の対象ではない」と規定しています。

特定の国家による月などの天体の所有を禁じたことは、「民間企業など組織が地球外資源に対する財産権を行使することができるという解釈を妨げるものではない」との解釈に通じます。民間組織であっても領有権は主張できませんが、鉱物など資源は、天体は人類共通の遺産という考え方から、中央管理者のいないDAOは、月面開発の資格があるとの考え方です。開発されうる月の資源は、将来のエネルギー源と予見されるヘリウム-3とともに、チタン、鉄、アルミニウムなど多くの埋蔵鉱物です。

総数38億余りのトークンの50%が一般公開される

不動産の登録コストはトークンが売れれば売れるほど上がり、それに伴って取引価格も上昇します。つまり早期登記者は、経済的利益も大きいという仕組みです。ダイアナ開発チームは、発行トークンの50%は一般公開で発売されること、創業者および開発チームには2%があらかじめ割り当てられること、残るトークンはリザーブして保管されることなど、このブロックチェーン利用の詳細を規定しています。

またDAO設立の考え方は、人類の長期にわたる宇宙空間開発に当たって、月面の探査・利用上で発生するだろう月面の所有権に伴い不可避な紛争を調停・整理するためにも働くことを想定しています。

ダイアナの代表はプレスリリースの中で「ブロックチェーン技術に基づく登録サービスは、透明かつ信頼できる権利の保証を通じた現行の土地取引と登記に革命をもたらす」と述べるとともに、「ダイアナ・プロジェクトは、月が日常の関心事となり、月の平和的な所有を促進し、初めて人類共通の遺産となる大きな機会になるだろう」と語っています。

参考
Diana, Launching a ‘Blockchain Lunar Registry’ For the First Time

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