Liquid Network上で発行されるテザー(Tether)がローンチ、サイドチェーンの利用が身近に

リキッドネットワーク(Liquid Network)上で発行されるテザー(USDT)がローンチしました。USDTは最もシェアの大きいステーブルコインです。

Liquid Networkとは?

Liquid Networkは、複数のノードが運営するサイドチェーンで世界各国の取引所が参画しています。

ローンチ時点の参加メンバーは以下の通りです。
Altonomy、Atlantic Financial、Bitbank、Bitfinex、Bitmax、BitMEX、Bitso、BTCBOX、BTSE、Buull Exchange、DGroup、Coinone、Crypto Garage、GOPAX、Korbit、L2B Global、OKCoin、The Rock Trading、SIX Digital Exchange、Unocoin、Xapo、XBTO、Zaif

これらのグループがサイドチェーンを管理して、ペイメントネットワークや取引所間のアービトラージなどを構築できることが近々で予想されています。もちろんサイドチェーン上のビットコインの取引は、メインチェーンのブロック生成に左右されず、高速な取引ができます。

Liquid Network上のUSDTは取引所ビットフィネックス(Bitfinex)で利用できます。Liquid Network自体はブロックストリーム(Blockstream)が開発したビットコイン(BTC)にペグするサイドチェーンで、オープンソースで公開されており、他のコンソーシアムがサイドチェーンを運営することも想定されています。

Blockstreamについては下記の記事が詳しいです。
関連:Bitcoin関連技術に特化をするBlockstreamの企業概要・取り組む事業領域・考察

サイドチェーンLiquidの主要な機能

サイドチェーンLiquidの主要な機能は下記の通りです。

高速な取引(即時ファイナリティ)

Liquidのサイドチェーンは、ビットコインとペグされたネイティブトークンであるL-BTCを持ちます。このL-BTCはいつでもビットコインのブロックチェーンにスワップすることができます。これによって期待されるユースケースは高速な取引体験、決済、マイクロペイメントなどです。トランザクションのファイナリティは2分以内に得れるとしています。

Liquid上でのトークン発行

Liquid上でトークン発行が可能です。これはセキュリティトークンやステーブルコイン、コモディティなどが想定されます。つまり、金融商品取引のソフトウェアとしても期待されています。

トークンのアトミックスワップ

Liquid上のトークンAとトークンBはアトミックスワップが可能です。さらにLiquidサイドチェーンは今後異なるコンソーシアムも出てくるはずです。すると、LiquidサイドチェーンαのトークンAと、LiquidサイドチェーンβのトークンBのアトミックスワップもできるとしています。

ユーザーフレンドリー

基本的にLiquidのサイドチェーンでも設計上、秘密鍵はユーザー自身が保有するものであるというアーキテクチャです。しかし、ローンチ時点で取引所コンソーシアムになっていることから、取引所アカウントをインターフェイスにして、より容易なUI/UXになるだろうと期待されます。

プライバシー

Liquidには、「Confidential Transactions」が採用されています。トークン化された金融商品の取引が、ビットコインのパブリックブロックチェーンと同様のプライバシーでは機能しないためです。

Confidential Transactionsは、取引の詳細を当事者間でしか分からなくする技術です。ビットコミットメントを利用し、通常のビットコインのトランザクションで表現されるビットコインの総量を「Pedersen commitments」に置き換えることで、その「blinding factor」を知る当事者でしか分からなくします。秘匿性を保持しながらも、フルノードが入力のコミットメントから出力のコミットメントを引いて合致していれば、不正が行われていないと証明できるとしています。

まとめ

今後サイドチェーンのプロダクトに触れる機会も少しずつ当たり前になるでしょう。レイヤー2というカテゴリの技術は明らかにプロダクションのフェーズに入ったと言えます。その他にもステートチャネルや形式の異なる技術が年内に少しずつ使えるようになるはずで、ユーザビリティも徐々に向上することが期待されています。

参照:Tether Lands on the Liquid Network

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