仮想通貨を決済手段とする意向強まる?米国メディアの報道増

米国の暗号資産(仮想通貨)メディアの中で最近、仮想通貨は投機対象というよりむしろ、いくつかのデジタル資産が当初から目指した決済目的により一層向いているのではないかという好ましい観測記事が目立つようになっています。フォーブス(Forbes)、ライブビットコインニュース(Livebitcoinnews)などから最近の記事を紹介して、投機対象から決済手段への移行が事実か否かを探ってみました。

仮想通貨を決済手段として受け入れる企業増

ビットコイン(BTC)をはじめ、多くの仮想通貨が、投資の領域から決済の領域により深く移行しているとすれば、仮想通貨の地位が固まり、好ましい傾向かもしれません。周知の通り、仮想通貨は当初、商品やサービスを購入する決済手段として役立つことを想定して発行されました。

ところが仮想通貨は予想外にボラティリティ(価格変動)が激しいという事実から、例えば一部の小売店主が震え上がってしまいました。BTCで50ドル(約5,500円)の決済を済ませた翌日、その価格が大幅に下落して、店主は大損するという事態が日常的に起きる可能性があるからです。もちろん、その逆のこともあり得るのですが。

多くの企業が仮想通貨による決済を鼻で笑う一方、一部の仮想通貨決済プラットフォームが事態を好転させて、特定の商品を購入する手段としての法定通貨や小切手、クレジットカードなどに取って代わる仮想通貨の利用の道を開こうとしています。

企業の例を挙げると、米国の電子決済企業のサークル(Circle)、Twitter最高経営責任者(CEO)のジャック・ドーシー(Jack Dorsey)氏が経営するモバイル決済のスクエア(Square)、英国のオンライン送金サービス業のスクリル(Skrill)などがそれで、マネーのあり方を変え、世界的に仮想通貨を決済手段として認める動きを公然と進めています。

適切な規制は業界の保護と安定に重要

スクエアの創業者兼CEOであるジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)氏は、米大手仮想通貨取引所のコインベース(Coinbase)と手を組んで、米ドルと連動するステーブルコインであるUSDコイン(USDC)を発行して注目されています。

同氏は規制問題についても積極的な発言を繰り返し、仮想通貨業界は力強く成長・拡大するために適切かつ厳格な規制が必要であると公言しています。これによって業界全体が保護されると同時に、ブロックチェーンが重要なテクノロジーとして確立され、テクノロジーのリーダーシップとイノベーションの面で米国が再び重要な立場になると確信しています。

価値の保存手段か、デジタル通貨か

世界的な有力経済誌フォーブス(Forbes)は2019年8月12日付のウェブ版で、「スクエア、スクリル、サークルなどの決済企業は今や、ビットコイン革命を進めている」との見出しの記事を掲載しました。その中で、ビットコインは「価値の保存」手段としてみなすべきか、あるいは「デジタル通貨」なのかとの見方で揺れているものの、スクエア、スクリル、ペイパル(PayPal)、サークルなどフィンテック分野におけるベテラン決済企業たちは、ビットコイン革命を突き進めているとして、その実態を伝えています。

アレール氏はブルームバーグ誌にて、仮想通貨業界の保護のためだけでなく米国がテクノロジー超大国として発展するためにも、適切な規制が必要であるとの見解を示しています。また「米国外でデジタル資産プロジェクトの浸透が進めば、企業は米国を離れ、米国外でプロジェクトを開始する動きが出るので、国外の様子が人々の関心を集めることは間違いない」と述べています。

参考
The Future of Crypto Is Payments, Not Speculation
Payments Companies Like Square, Skrill And Circle Now Driving The Bitcoin Revolution

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