米証券取引員会(SEC)は、ビットワイズ・アセット・マネジメント(Bitwise Asset Management)、ヴァンエック(VanEck)とソリッドX(SolidX)、そしてウィルシャー・フェニックス(Wilshire Phoenix)から申請されていたビットコイン(BTC)ETF(上場投資信託)取引を認可するか否かの決定を改めて延期しました。決定延期の理由は、このデリバティブ商品が、投資家保護の観点から要件を満たしているかどうかというSECの常套句で説明されています。
一方、バックト(Bakkt)がビットコイン先物取引で米商品先物取引委員会(CFTC)の最終的な認可を得て、いよいよ2019年9月23日に取引を開始することが決まりました。バックト(Bakkt)は果たして、BitwiseなどのビットコインETFの認可にプラスの影響を与えるのでしょうか?
ETF認可の是非は市場操作などの懸念次第
SECによると、ビットワイズへの最終決定は10月13日まで、ヴァンエック・ソリッドXは同18日、ウィルシャー・フェニックス(Wilshire Phoenix)は9月29日までそれぞれ延期となりました。
ビットコインETFについて、SECコミッショナーのヘスター・ピアス(Hester Peirce)氏は2019年初め、上場の時期は適切だとしながらも、長期的観点から投資家に影響を及ぼすだろう市場操作、市場監視、カストディ(保管)サービスについて懸念を持っているとコメントしていました。SECのジェイ・クレイトン(Jay Clayton)委員長は、これらの問題はすべて、ETF取引を承認するまでに解決済みでなくてはならないと述べています。
ビットワイズは水増し取引などについての報告書をSECに提出
ビットワイズは、これらの問題に誠意を持って対応するため、SECに対して極めて詳細な市場調査を報告しています。その中で日々取引されるビットコイン取引量(他のコインを含めて)の95%は、水増し報告されていることを認めています。実際のビットコイン取引の平均日量は2億7,300万ドル(約287億円)であるのに、CoinMarketCapの報告では60億ドル(約6,300億円)だったことが確認されました。
ビットワイズグローバルヘッドのマット・ホーガン(Matt Hougan)氏は、「仮想通貨市場では誤った取引量が通用している事実がニュースではないのが現実である。われわれはそれを正して定量化する包括的アプローチを採用したことで知られるまさに初の企業である」とコメントしました。
ビットコインETF認可までには多くの難関
SECはビットコインETFが承認される前に実施されることが望ましい規制作りに取り組む一方、リスクを監視し、コンプライアンスを改善するためにビットコインやイーサリアム(ETH)などのノードを実行する契約者を探し始めています。SEC自ら取引試験に関与して、実態を把握して規制措置作成に活かす試みです。
SECは過去6年の間に、9件のビットコインETF上場申請案件を却下もしくは延期してきました。最初の申請案件は、ウィンクルボス兄弟が支援するビットコイントラスト(Bitcoin Trust)でした。
米資産運用会社アルカ(Arca)の最高投資責任者(CIO)であるジェフ・ドーマン(Jeff Dorman)氏は今年7月に「ETFが今すぐ認可されないことは、ダンクシュートさながら決定的だ。14日間に81%、それも米国の取引時間中に価格上昇するようでは、そもそも成功裏にSECの承認が得られる方程式とは言えない」と、極めて悲観的な口調で先の見通しを懸念しています。
参考
・Why the SEC once again postponed Bitcoin ETFs
・Six Years After First Bitcoin ETF Filing, How Close are We For One?
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