
ウォレット企業のTelxがウォレットのように機能するSIMカードを発売し、画期的なコンセプトから注目を集めています。ローンチ時点ではビットコイン(BTC)、ライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)、ジーキャッシュ(ZEC)、ダッシュ(DASH)をサポートし、今後その他の通貨も随時追加される予定です。
参照:TELX
SIMカードがウォレットのように機能する新サービスTelx
Telxの特徴は主に下記の通りです。
- インターネット接続なしでトランザクションできる。
- 日本を含む180カ国以上で対応。
- ウォレットはカストディ型でありユーザーが秘密鍵を管理するわけではない。
- SMSの番号からのコマンドをトランザクション指示としてカストディからトランザクションが送ることができる。
- 費用は月額17ドル。追加料金はなしで使い放題。SIMには電話番号が付与される。
- Telxのユーザー同士は電話番号のみで暗号通貨を送信しあえる。
- SMS以外からはトランザクションができないので、鍵の流出などの心配がない。
- スマートフォンを紛失したりしても個人情報を認証すればリカバリーは可能。
また、使用時のインターフェイスは下記のような感じです。
出典:TELX Medium
また、カストディ型ではあるため、取引所に預託している資産と同様、Telxのハッキングリスクもユーザーにあることは注意が必要です。
ユーザーとして買うべき?使用シーンは?
このTelxはユーザーとして買うべきか筆者の意見を述べます。SIMカードウォレットというTelxのコンセプトは面白いですが、使うシーンはかなり限定されるだろうということが筆者の印象です。
カストディウォレットの出金指示をSMSインターフェイスにしただけであるとも説明でき、インターネットが繋がらない地域などでなければ用途はあまり思い浮かびません。そもそも電話番号だけで暗号通貨を送金するには、送り手も受け取り手もどちらもTelxユーザーである必要があり、そこまで普及することも考えづらいです。
アフリカをはじめとした途上国地域の郊外であれば、インターネットの接続性の観点から需要があるかもしれませんが、それらのユーザーは暗号通貨をそもそも保有していない場合が多いことや、それらのユーザーを対象にするには月額17ドルの価格設定は高額です。
これらを考慮すると、なかなか買う理由が見つからないということが筆者の感想です。Telxと全く同様の機能が既存の電話番号に付帯すれば、場合によっては利用するかもしれませんが、今の所需要は限定的なのではないでしょうか。
参考
・TELX Medium
・TELX
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