メッセージベースのOTC取引プラットフォームのパラダイム(Paradigm)とは?

パラダイム(Paradigm)というメッセージベースのOTC取引インターフェイスが8月にリリースされました。

OTC取引プラットフォームParadigmの特徴

トレーダーは、買いたい、または売りたい銘柄・数量を指定してチャットで募集して、チャットで合意をすれば、そのままセトルメントされるというものです。暗号通貨のデポジットとセトルメントは先物取引所のデリビット(Deribit)と連携して行われています。チャットで合意した内容がそのまま取引所内で取引実行されます。

これまでテレグラム(Telegram)やウィーチャット(WeChat)の大口投資家が集まってやり取りするグループチャットで、OTCの取引相手を探す場合は多々ありました。これらはOTC専門業者が積極的に扱っていないトークンの取引でよく見られるケースです。

これらはさまざまなグループが存在し、目的の取引を実行するまで、トレーダーは多くのチャットグループを行き来する必要がありましたが、それらのリプレイスを目指すサービスです。Paradigm上では、OTCのトレーダーはチャット機能を使って、交渉などもできます。

また、XXトークンをYYトークンをそのまま交換するという取引だけでなく、XXトークンを〇月〇〇日に購入するという契約もParadigmのプラットフォーム上で行えるといいます。

チャットでやり取りしたこれらの内容のオプション契約をそのままオプション取引所Deribit上の契約に反映をすることができるとしています。期日までオプションを販売した売り手の資金はDeribit上で拘束されることから、売り手が不正に契約を取り下げるカウンターパーティーリスクは排除できます。

複数の取引所と連携して機関投資家の取引インフラを目指す

Paradigmは、まだローンチしたばかりですが、既にシンガポールベースのQCPキャピタル(QCP Capital)やギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)などいくつかの大口取引ユーザーをプラットフォームに引きつけています。

また、暗号通貨市場では、デリバティブの提供をする取引所が増加傾向にありますが、これはユーザーのリテラシーが向上し、市場拡大を見込めることから望ましいことであると創業者はブロックチェーンメディアのザ・ブロック(The Block)にコメントしています。

Paradigmの創業者自身も元々トレーダーであったものの、暗号通貨のOTC取引において取引所カウンターパーティーを探索しにくいということがフラストレーションで、創業の動機になっているといいます。Paradigmはニューヨークを拠点にして運営されています。同社は、XBTOベンチャーズ(XBTO Ventures)、ベクター・フィンテック・パートナーズ(Vectr Fintech Partners)、 マネックス・グループ(Monex Group)から出資を受けています。

同社によると、現在は、連携取引所はDeribitのみですが、今後その他のスポット取引所、デリバティブ取引所に接続をすることを順次予定しているといいます。複数の取引所と連携ができた場合、Paradigmは暗号通貨取引を行う機関投資家にとってインフラストラクチャーになれる可能性があるでしょう。

参考
Crypto derivatives traders are abandoning Telegram for a newly launched chatting app to do large trades

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