世界最大手の保険ブローカー マーシュ・アンド・マクレナン(Marsh & McLennan)は、モントリオールベースのカストディアン KNOXに異例となる仮想通貨の完全カバー保険を提供。ビットコインなどの資産運用会社やヘッジファンドなどに提供する物理的にアクセスが遮断されたコールドストレージサービスからのハッキング被害などのすべての資産を保証するという。

 

仮想通貨保険の実適用範囲は狭い

KNOX CEOのAlex Daskalov氏によると、もしカストディアン(仮想通貨保管サービス)が10億ドルのビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨を保管している場合、1億ドルの保証をしていると謳っている場合には10%程度しか保証されていないのが実態であると説明。

例えばカストディサービスを利用している顧客がハッキングなどで1億ドルの損失を被った場合、実際には1000万ドルほどしか保証されないのだという。対してKNOWの保証プログラムはこのような曖昧な保険とは異なり、世界最大手の保険ブローカーのマーシュと共同して完全な保証を提供するという。

 

「通常カストディサービスを使用する顧客は保険証券を購入し、実際のところ保険のリミット以上の資産をカストディアンに預けることになる。それに対してKNOXとマーシュのカストディではヘッジファンドや資産運用会社がプラットフォームを安心して利用するための全額保証を提供する」

 

と述べている。

 

アーチやロイズのサポート

マーシュの副社長であるJennifer Hustwitt氏によると、KNOXの保険はロイズ・オブ・ロンドン(ロンドンの世界規模の保険市場)の複数の企業連合のサポートや世界中で保険を提供するアーチ・キャピタル・グループによる主導で保証されると述べている

またDaskalov氏によると、保証は完全に青天井というわけではないと述べており、どの顧客でも1億ドルを超えるほどでは問題ないとしている。仮想通貨のカストディサービスでの最高保証額は、Coinbaseによる2.55億ドルであると見られるが、100%の保証ではないとうことだろう。

 

フィデリティなどからの出資

KNOXはここ最近で620万ドルの資金調達を行っており、iNoviiaキャピタルやフィデリティカナダ FJ Labs, Ferestキャピタルなどが名を連ねている。KNOXでの手数料は100%の保証を行う代わりに、預かり資産の 最大1%からとしており、どれだけビジネスが行われるかによって徐々に割安になっていくという。

コインチョイス墨汁速報 著者(@bokujyuumai)

参考:In Rare Deal, Crypto Custodian Wins Insurance on Full Value of Client Assets

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