9月26日にネム(NEM)財団が2019年9月のアップデートを発表した。暗号通貨ネム(NEM)は、次世代ブロックチェーンカタパルト(Catapult)への移行に際してコミュニティーでもさまざまな問題提起や議論が行われている。その辺りも踏まえて、今月はどのような内容となっているのか確認していきたい。
カタパルト(Catapult)への移行方針
いよいよカタパルトのリリースが近づき、カタパルト移行委員会から移行方針が発表された。要約すると、新旧2つのチェーンを平行稼働、2トークン制、オプトイントークンアローケーション方式が有力であることが挙げられている。
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技術チームの更新
カタパルトアップデートでエレファント3(Elephant3)がリリースされ、一般公開に向けて進められている。また、カタパルトのコンセンサス・アルゴリズムであるプルーフ・オブ・ステークプラス(POS+)について、NEM財団評議員のジェフ・マクドナルド(Jeff McDonald)氏がMediumで、これまでのプルーフ・オブ・インポータンス(PoI)から改善された点を述べている。
技術部分全体では、プロトコルの更新、クライアントの統合、ソフトウェア開発キットの更新、カタパルトのテストネット公開といったトピックが主なものとなっている。
日本コミュニティの活動
今回のアップデートでは、日本における活動も紹介されている。
nemgraphのリリース
NEMブロックチェーンを活用した次世代SNS「ネムグラフ(nemgraph)」がリリースされている。写真を投稿したり、投げ銭したりすることができるSNSだ。ブロックチェーン技術を利用することで、投稿した写真が自分のものであることを証明できるようになっている。所有権が証明されたオリジナルの画像は、販売することもできるため、クリエーターは収益を図ることも可能である。
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nem Tech-Bookの公開
NEMカタパルトに向けた技術書が有志によって作成された。基本的な機能からNEMカタパルトのブロックチェーンを使ってアプリケーションを開発したいエンジニア向けの参考書となっている。
その他の主な活動
- NEMのパートナー企業であるマレーシアのサバ・ネット(Sabah Net Sdn. Bhd.)社は、ITシンポジウムでブロックチェーンワークショップを開催。
- NEMはマレーシアサバ大学(UMS)とパートナーシップを結ぶ。
- オーストラリアのLabrysは、カタパルトウォレットとTrazorソフトウェアの統合にまつわる契約を獲得。
次の課題はカタパルト上でのトークン名?
今月は、カタパルトの移行についての方針が大きかっただろうか。現在稼働しているNEMブロックチェーンとカタパルトは、別のブロックチェーンネットワークとして平行稼働する方針だ。現在のチェーンをシャットダウンする考えもあったが、その判断は中央集権的な考えであることからシャットダウンしない方針となっている。そのため、NEMのネイティブトークンが旧チェーン上のものと新チェーン上のものとで2つに分類されてしまう問題がある。
この場合、カタパルトチェーンでのトークン名をどうするのかという疑問が残る。カタパルトの新チェーンでもNEMをイメージさせるトークン名とするのか、それとも全く別物と考えた名前になるのか。NEMが分散化を目指すのであれば、この決定自体も投票によって行うべきだと私は考えている。
参考
・NEM Foundation Update: September 2019
・What is PoS+?
・技術書典7「次世代NEMではじめるブロックチェーンアプリケーション開発」 ※現在は電子版のみ購入可
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