BitfinexとTetherが約150兆円の大規模仮想通貨市場操作で集団訴訟の被告に

暗号資産(仮想通貨)業界でうわさされていたことが現実になりました。仮想通貨取引プラットフォームのビットフィネックス(Bitfinex)とその姉妹企業であるステーブルコイン発行元のテザー(Tether)を相手に集団訴訟が起こされました。訴訟理由は、両社が仮想通貨市場を不当に操作して、訴状によると「人類の歴史上最大規模の金融バブル」を人為的に生み出したというものです。

原告団によると、被告が責任を負うべき債務は、推定1.4兆ドル(約150兆円)という巨額になります。

テザー(USDT)が大量発行されて歴史上最大のバブルを人為的に生み出した

原告団のデビッド・ライボウィッツ(David Leibowitz)氏ら5人は2019年10月6日、ニューヨーク州南部地区連邦地裁に訴状を提出、両社がステーブルコインのUSDTを利用して2017-18年の強気相場のさなかに、「一部は詐欺行為、あるいは風説の流布、マネーロンダリング(資金洗浄)などの手段を使って、仮想通貨市場の成長の半分余りを人為的に創り出した」と、その理由を説明しています。

自称サトシ・ナカモトのクレイグ・ライト(Creig Wright)氏がビットコイン(BTC)を詐取した疑いで訴えられた事件で、被告側の弁護を引き受けたロシュ・フリードマン(Roche Freedman)法律事務所がこの集団訴訟を引き受けています。

訴訟は、テキサス大学が公表した調査リポート「2018年スタディ(2018 Study)」を根拠にして、「テザーが大量に発行した仮想通貨USDTが、人類の歴史上最大規模のバブルを生み出した」と述べています。

被告側は「事実無根の調査」に基づく「恣意的かつ不完全なデータ」と反論

訴えられた中心的な疑惑は、テザーが何年にもわたり、何十億ドルものUSDTを発行して、人為的に仮想通貨の価格を吊り上げ、実際よりはるかに大きな需要があるかのような市場に思わせたことです。

これに対してビットフィネックス、テザー両社は個別に声明を発表して、この訴訟は「事実無根の調査結果」に基づくもので、「恣意的かつ不完全なデータ」に満ちていると反論しました。

両社がBTC価格操作の唯一の原因というのは「地球は平面」と主張するようなもの

ちなみに仮想通貨を専門とするビットフィネックスの法務顧問であるスチュアート・ヘグナー(Stuart Hoegner)氏は10月6日Twitter上で、「テザーとビットフィネックスの活動が、ビットコイン価格を動かす唯一のこと(原因)という主張は、地球は平面であると主張するようなもの。マクロ経済を理解しているUSDTユーザーや専門家は、現存する最もポピュラーで成功するステーブルコインであることを知っている」と反論しています。

同社の最高技術責任者(CTO)であるパオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)氏は10月7日のTwitterで、「ビットフィネックスとテザーに対する持続的な攻撃によって、どの会社が負け、どのが勝ちそうなのか考えてみたい。そもそもこれらの会社は、加害者から仮想通貨を守るという、われわれの大きな努力に気付いているかどうかも確かではない」と述べています。

テザー(USDT)は特に、当初から米ドルと1対1交換できるステーブルコインと宣伝されてきました。しかし19年2月に米司法省の調査が入った時点で、「時にはその他資産との交換もありうる」とスタンスを変え、さらに4月になると、同社弁護士は裁判所で、USDTの米ドルキャッシュもしくはキャッシュ相当物との交換保証は74%までであることを認めました。この訴訟の行方を注目してみましょう。

ビットコイン(BTC)の価格・相場・チャート

参考
Bitfinex, Tether Accused of USD 1.4 Trillion Market Manipulation
Tether Accused of Major Market Manipulation in Trillion Dollar Lawsuit

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