ビットコインETFは終わり?Bitwiseは認可に向けて未だ前向き

10月9日に、米証券取引委員会(SEC)は、暗号資産(仮想通貨)取引所ビットワイズ(Bitwise)のビットコイン(BTC)ETF(上場投資信託)申請について却下しました。今回SECが下した裁定によって、2019年内にビットコインETFが誕生する可能性は無くなりました。

却下の理由は市場操作への危機感

ここ数年にわたってSECは、多くの申請を却下してきました。ビットワイズはそれに対し、詳細な資料とともに仮想通貨業界でのETF開設の必要性について、SECを納得させるべくプレゼンテーションを行っています。

申し立ての中でビットワイズは、ビットコイン(BTC)のスポット価格は、10ヶ所の仮想通貨取引所が構成する「実取引」から派生しているというケースを例示し、こうした市場は、市場操作の影響を受けないとも断言しています。しかし、この申し立ては却下されました。

また、ビットワイズは他のすべての取引所が、コインマーケットキャップ(CoinMarketCap)における取引所順位を上げるために、架空の取引データを報告しているとも主張しています。取引所のこの行為は、より多くの顧客を引きつけ、経営者側は上場のために多額の手数料を請求することにもなります。その上でビットワイズは、水増し取引は価格には影響しないと述べています。

それに対してSECは、ビットコインの「実取引」が市場操作を受けないという事実でさえ、議論の最中にあると反論しました。仮想通貨間での取引でも、監視の必要性を排除するものではないとも述べており、さらに「ビットコインのアービトラージ取引にのみ、特殊性があるという証拠はない。つまり、より厳しく規制された既存のデリバティブ商品以上に、市場操作から上場投資商品(Exchange Traded Product:ETP)を効果的に隔離する方法はない」とも説明しています。

払拭しきれない仮想通貨業界への不安

ビットワイズのレポートによると、ビットコイン先物取引市場は、取引所における実際のスポット取引量に対しても、重要な位置を占めているということです。ほとんどの先物価格は、前述した10の取引所によるインデックス指数に従っており、ビットコイン先物取引取引量は、スポット取引量のおよそ30%にまで達しているそうです。

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の先物価格は、ビットワイズの純資産総額(NAV)計算手法に準じており、その計算には、上記10の取引所を参照しているとしています。参照先の取引所には、ビットスタンプ(Bitstamp)、コインベース(Coinbase)、アイティービット(itBit)、クラ-ケン(Kraken)などが含まれています。

それに加え、米国外における価格安定と市場の規制が行われている例として、スイスに本拠を置くアムンAG(Amun AG)の活動を引き合いに出しました。Amun AGは、スイス証券取引所(SIX Swiss Exchange)で、4種類の仮想通貨取引関連商品をリリースしています。そして、いくつかの仮想通貨事業者でも、規制団体を作る努力を続けています。例として、ウィンクルボス兄弟主催のバーチャルコモディティ協会(Virtual Commodity Association)が挙げられます。

しかし、SECの命令書においては、「ニューヨーク証券取引所傘下の電子取引所NYSEアーカ(NYSE Arca)でさえ、監視システムを利用した、実取引でのスポット取引プラットフォームを運用しているというものの、その監視共有の合意に至っておらず、今後合意することもないだろう。仮に合意したとしても、NYSE Arcaに監視データの共有を強制できるかどうかは不明だ」ともされていました。

ETF認可には長い道のりが待っている

以前、ビットワイズのチームは、仮想通貨業界が抱いている最大の思い違いは、SECが基本的に反仮想通貨主義であるという思い込みではないか、との見解を示しました。その主な理由は、初めてのビットコインETFの認証に対して、規制者側が幾度とない延期を重ねているからです。しかし、歴史を振り返ってみると、あらゆるETF事業のはじまりでは、かなりの年月を必要としていたという事実もあります。

ビットワイズは今回の却下に対して、これは公正に規制された仮想通貨ETPへの、長い道のりの一歩だという考えで冷静に対処しています。この一連の動きの中でも、ビットコインの価格は影響を受けておらず、却下以降も通常の値動きを続けています。

ビットコイン(BTC)の価格・相場・チャート

参考
SEC Rejects Bitwise’s Bitcoin ETF, Bitwise Responds Positively With Future Plan

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