2020年前半にかけて大型の新興ブロックチェーンが上場、投資家が行うべき行動とは?

2019年年内から2020年前半にかけて大型の新興ブロックチェーンが数多くメインネットで公開される予定です。テレグラム・オープン・ネットワーク(Telegram Open Network)や ファイルコイン(Filecoin)、ポルカドット(Polkadot)、ディフィニティ(Dfinity)などがそれにあたります。

いずれも数百億円以上をプライベートセールで資金調達したプロジェクトであり、プライベートセール時点の価格を参考にすると、上場後すぐに時価総額ランキングでは上位になることが予想されます。

また、米国最大の取引所であるコインベース(Coinbse)は既にこれらの上場を検討していることをアナウンスしています。なお、Coinbaseがこのように上場の検討プロセスに入った段階で公にアナウンスをする理由は、検討時点で明らかにしてしまうことで内部でのインサイダー取引を防ぐためです。

コインベースの上場検討リスト

これらの暗号通貨は時価総額が大きいだけに、暗号通貨の時価総額ランキングのトップ10~30位あたりは今後大きく入れ替わるのではないかと予想されます。さて、これらのトークンの上場に対して投資家はどのように向き合うべきでしょうか。

これまで2019年にローンチしたブロックチェーンの価格実績

まず2019年に新規にメインネットが公開されたプロジェクトの価格推移実績を見てみましょう。以下は、Messariの記事を引用したグラフです。コスモス(COSMOS)やヘデラ・ハッシュグラフ(Hedera Hashgraph)などの大型ブロックチェーンと上場時からの価格推移と、年内に米国で注目されたIPO銘柄を比較しています。

Messariのリサーチ画像
出典:Messari

ここから明らかになることは、上場時にすぐ購入して、そのまま保有している投資家は全て大きな損失を被っているという明らかな事実です。これについては下記のレポートでより詳しい解説を行っています。

関連記事:暗号通貨/トークンのディストリビューション方式ごとの投資リターンの比較

なお、グラフに引用されている中でCOSMOSとアルゴランド(Algorand)はプライベートセールは実施されていません。

プライベートセールが行われている銘柄に対して投資家が行うべき行動

当然のことを示すならば、価格推移が優れていないということは、需要を上回る売り主体が存在するということを示します。プライベートセールしか実施されていないコインの売り主体は、同じく当然ですが、プライベートセールの投資家です。

「プライベートセールで購入をした投資家が上場時点で一般投資家に売却をしてしまうのであれば、はめ込みではないか」という声もあがるでしょうが、現実に起きていることなので、しょうがないと言わざるを得ないでしょう。以上を踏まえて行える一般投資家の選択肢は筆者が考える限り3つあります。

  1. プライベートセールが実施されたコインは上場後数ヶ月は買わない。
  2. コインの将来性を分析して長期で投資をできるものを選定し、かつプライベートセールの販売価格まで調査して、適切な購入のタイミングを見定める。
  3. 何らかの方法でプライベートセールで購入する努力をする。

これらが現実に即した選択肢でしょう。今後、新規にメインネットが公開されるブロックチェーンには技術的に面白いものや将来性があるものも中には多くありますが、投資家としては冷静な行動をするべきといえます。

参考
[Messari Research] Returns of top tech IPO’s and token launches in 2019
Coinbase continues to explore support for new digital assets

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