FRB理事候補だったムーア氏がしっぺ返し、ステーブルコイン「Frax」発行へ

米共和党員でエコノミストのスティーブン・ムーア(Stephen Moore)氏は、トランプ大統領から米連邦準備制度理事会(FRB)理事に選任する指名を取り消されたことから、今度は部分準備制度で支えられる独自のステーブルコイン「フラックス(Frax)」を発行する計画を発表して、通貨を独占するFRBに強烈なしっぺ返しに出るようです。

ムーア氏は部分準備銀行制度によるFrax運用目指す

ムーア氏は2019年10月22日(米国時間)、Fraxの発行計画を正式に発表しました。この計画には、ウィキペディア(Wikipedia)の競争社エバーペディア(Everpedia)の最高経営責任者(CEO)であるサム・カゼミアン(Sam Kazemian)氏らが協力します。フォーブス誌によると、Fraxは米ドルと連結するステーブルコインですが、米ドルに取って代わりうる仮想通貨になることを目指しています。

ムーア氏はForbesとのインタビューに応えて、「私は30年にわたり金融政策をフォローしてきたが、市場にとって健全ではない政府による通貨独占のトラブルにいつも巻き込まれてきた。民間の競争者が、通貨供給で中央銀行に挑戦するのは大いに健康的である」と宣言しました。ムーア氏が目指すのは、部分準備銀行制度(fractional reserve banking)です。

部分準備銀行制度とは、銀行が市民の預金の一部だけを準備金として保有するシステムであり、残金を貸し出し(ローン)して運用するシステムです。

Fraxは債券を発行して通貨を買い戻す、利子からキャッシュフローを生む

Fraxは中銀の必要性を排除します。Fraxは実は準備通貨米ドルとの1対1プールで支えられるのではなく、準備通貨をローンに回す代わりに金利を稼ぐという手法を通じて、ドルの価値と連結します。ローンはブロックチェーン上に記録されるので、取引台帳が有効に保存され、中銀のする煩雑な仕事は無用になります。

Fraxのアルゴリズム的手法は本来、安定性を保証するよう考案されています。カゼミアン氏の表現によれば、Fraxは「アルゴリズム的で部分準備的なステーブルコイン」であり、究極的に富の増加を目指す利益追求型の努力そのものです。

同氏によると、Fraxは銀行業務で言うと債券を発行して通貨を買い戻すようなもので、「利子というキャッシュフローを生み出すためのオンチェーン貸し出しシステムであり、その収入は市場価格が下落する際に安定したFRXを買い戻すために支出される」と説明しています。

民間発行の通貨の競争によって法定通貨の政府独占は終焉を迎える

かつて同様のステーブルコインとして発足を試みた「ベーシス(Basis)」は、資金調達後規制上の問題で解散した前例があります。ムーア氏らはあえて体制(FRB)に挑戦することができる仮想通貨を開発する主たる理由として、政府の債務の急増と金融政策失敗を挙げています。

同氏は「私がFRBの理事になっていたら、Fraxのような仮想通貨の開発を推奨していただろう。FRBは手に負えない法定通貨に対する抑止と均衡の手段となる」と語っています。

ムーア氏によると、Fraxは19年末までに発行する計画です。同氏は「中央銀行は間もなく、Fraxのような民間発行の通貨による競争を実感する。中銀が発行する通貨による政府独占の日は、終焉を迎えるだろう」と厳しく表現しました。

ムーア氏は結論として、「通貨の価値の荒々しい変動と多くの国のハイパーインフレーションとの戦いを考慮すると、われわれは消費者、企業、投資家に恩恵をもたらす安定した価値を持つグローバルな通貨を必要としている」とFraxの意義を強調しています。

参考
High-Profile Republican ‘Troubled by Government Monopoly on Currency’ Launching New Crypto to Compete With Central Banks
Trump and Reagan Advisors Join Frax to Launch World’s First Fully Decentralized Global Currency

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