ハードウェアウォレットのLedger Nanoで有名なスタートアップLedgerは、米保険業界最大手のマーシュによりLedgerが提供する仮想通貨カストディプラットフォーム”Ledger Vault”に163億円の保険をロイズのArchから獲得したと14日に発表した。
Ledger Vaultとは?
Ledger Vaultは、Ledgerが提供する新たな仮想通貨カストディソリューションプラットフォームだ。金融機関が仮想通貨の管理を行う際にスピードとスケーリングを可能とし、複数のマルチ認証スキームを利用して署名をマルチシグ化や日の引出しリミットを設定、特定期間後に出金するトランザクションのタイムロックなどの複数の設定をおこなうことができる。
Ledgerの提供するVaultプラットフォームに保管した仮想通貨をLedegerのPSD(Personal Security Device)で管理するカストディプラットフォームということだ。ユーザーは上記の自身の需要にあった設定を行い、PSDで設定を完了、この情報はLedger Vault内の秘密鍵などを管理するHSM(Hardware Security Module)に送信される。このデータのやり取りはPSDとHSM間で暗号化され常にセキュアに保たれるのだ。
つまりLedger Vaultはカストディアンではなく、B2Bの仮想通貨を保管するツールを提供するプラットフォームだとLedgerは述べている。
出典:Ledger
仮想通貨保険の詳細
今回Ledger Vaultが獲得したロイズのArchによる仮想通貨保険は、
・データセンターのHSMに保管される秘密鍵の盗難
・クライアントの新人研修中でのマスターシード生成
・Ledger内部での従業員の結託による盗難
に最大で163億円の保険が付与されるという。対象通貨はビットコインやイーサリアムなどのLedger Vaultでサポートしている全ての仮想通貨が対象となり、必要に応じて保険カバー範囲内に新たな仮想通貨を追加することもできるという。
Ledger Vaultを使用するクライアントはこのArchの保険を使用するためのコストは必要もない。
保険業界の仮想通貨カバーの時代が到来
世界最大級の保険市場であるロイズオブロンドンは、2018年8月にカストディアンのKingdom Trustの秘密鍵をカバーしたことから参入。また9月にはLedgerと同様にマーシュがロイズの保険をカナダのカストディアンKNOXへ提供するなど、保険業界の仮想通貨参入が著しい。
2018年までははれもの扱いのように、仮想通貨市場は保険業界の参入がみられなかったものの、2019年には大きく変化しており、今後保険業界の動向は注視しておくべきだろう。
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参考:Ledger Vault Obtains Groundbreaking Custom Crime Insurance Policy