イーサリアム(Ethereum)はPoS移行に伴い、ETH1とETH2の2つが存在し価格が乖離?

イーサリアム(Ethereum)のPoS移行、2.0へ

イーサリアム(Ethereum)は現在プルーフ・オブ・ワーク(PoW)でブロック生成が行われますが、将来プルーフ・オブ・ステーク(PoS)へアルゴリズムを移行させる予定です。PoSへの移行は、今に提案されたことではなく、イーサリアムの考案当初からスケジュールされ長らく研究開発がされてきました。

これによって現在のトランザクション性能が大幅にあがり、スケーラビリティの向上が目指されています。イーサリアムのPoSの移行は、Ethereum2.0と呼ばれています。略してEth2やEth2.0などとも呼ばれますが、基本的に全て同じものを指し示しています。このアップデートは数回の段階に分けて行われますが、その第一段階のアップデートは来年2020年のQ1に迫っています。

新しいEthereum2.0ブロックチェーンと数年間は共存

来年前半にあるフェーズ0のアップデートに伴い、ネイティブアセットであるETHは、ETH1とETH2の2つが存在し価格が乖離することが予想されます。

ETHが2つ存在するようになると言われても理解できない人のために順に説明をします。
イーサリアムのPoSへの移行は、ソフトフォーク(後方互換性のある アップデート)、ハードフォーク(後方互換性のないアップデート)のいずれでもありません。

そもそも、イーサリアムは年に1~2回の大型アップデートがあり、それらはハードフォークによって行われています。直近ではイスタンブール(Istanbul)と呼ばれるアップデートがこれに当たります。

PoSの移行であるEthereum2.0では、ハードフォークですらなく、完全に新しいブロックチェーンをゼロベースで作ることになります。その間、現在稼働しているPoWのイーサリアムと、新しいPoSのイーサリアムの2つが共存することになります。

現在のPoWのイーサリアムのアプリケーションやユーザーは徐々に新しいPoSのイーサリアムに移動することになりますが、数年はPoWのイーサリアムが残ります。これに伴いETHも2つ存在することになります。便宜上、これら2つのETHを、ETH1とETH2と呼びます。

Ethereum2.0mについて技術的な点も含めてより詳しい解説は外こちらの記事で解説しています。

ETHはETH1とETH2の2つが存在し価格が乖離

ETH2を手に入れるには、ETH1をデポジットコントラクトに送信する必要があります。そのETH1はロックされ、ETH2を手に入れることができます。

Ethereum2.0は数段階のフェーズに分け開発されますが、最初の2年間ほどの期間、スマートコントラクトを実行できません。スマートコントラクトを実行するにはバーチャルマシンの実装が必要ですが、eWASMの実装はフェーズ2で2021年に予定されています。

スマートコントラクトを実行できないため、この期間、一度ETH2にしてしまったら、ETH1を引き出すことは不可能です。2つのトークンはそれぞれ別のトークンとして上場することから、同じ価格にはならないはずです。

ただしETH2ではスマートコントラクトが実装される前段階でもステーキングをすることができ、バリデータになり報酬を得ることが可能です。ただしその間、Ethereum2.0ではアプリケーションは動かず、ユースケースはないでしょう。ETH1をETH2に交換してこの期間、ステーキングに参加をするかどうかは各ユーザー次第です。

ETH2はステーキング報酬は得られますが、2年間前後にわたる引き出し不能な定期預金だと考えると良いでしょう。

イーサリアム(ETH)の価格・相場・チャート

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