イランの国情はかなり悪化していますが、アメリカ当局ではイランの財政は認識されている以上に悪い状況にあると説明しています。イランでは燃料価格引き上げに対する反政府デモが続いており、金融危機へと近づいている中、仮想通貨(暗号資産)はその手助けになるのでしょうか?
イランへの制裁と同国の経済事情
国際的な制裁によって、テヘランからの石油輸出が禁じられて以来、イランは制裁回避の努力を続けたため、長期的保証はないものの経済的な打撃を和らげてきています。しかし現在、イラン政府は残った外貨準備高を切り崩しているような状態です。このような状況が続けば、物資や設備の輸入は早々に途絶えることになるでしょう。6年前に非核交渉への圧力に苦しんだ時代よりも、さらに差し迫ったものになる危険性があります。
今のところは未知の要因が多過ぎることから、イラン経済の今後を予測することは難しい情勢です。アメリカが同盟国から得た情報では、イランにはこの状況を打破するため、非公式の収入源が存在することを示唆されています。また、イランは石油を密輸出することで自国に物資を持ち込む可能性もありますが、アメリカは、この方法で制裁の影響を排除することは不可能だと考えています。
そこでもう一つの選択肢として考えられるのが、イランが仮想通貨に活路を見出すことです。
仮想通貨に救いを求めるイラン政府
ビットコイン(BTC)を始めとする仮想通貨は、国境にとらわれない性質など、分散化によって得られる多くの特性で知られています。このようなデジタル通貨は、特定の管理者によるコントロールを受けないため、イランがビットコインやその他の仮想通貨ならびにトークンを利用することは、アメリカの力でもストップできません。
アメリカの通信社ブルームバーグ(Bloomberg)によると、アメリカ主導の制裁に対処するため、イランは今後2年間で110億ドル(約1兆1,100億円)規模の商品製造を計画しているようです。またウォールストリートジャーナル(The Wall Street Journal)は、アメリカ当局がイランの侵略行動に出る可能性について懸念していると報じています。記事ではイランが否定している、周辺国の石油供給施設への攻撃についても言及しました。
しかし、本質的な問題はお金に関することです。現在イランが保有している外貨準備高は、2013年に報告された額から20%減の、およそ8,600万ドル(約94億6,000万円)と見積もられています。こうした状況からアメリカ当局では、イランが再び交渉の席に着くか、さらに預金を切り崩すか、どちらかの選択を迫られるだろうと考えられています。
イランは仮想通貨に抜け道を見出すのか?
かつては仮想通貨に規制をかけていたイランですが、2019年1月にはその規制を解除し、同年7月にはマイニングも合法化されるなど、現在では国を挙げての支援を行う姿勢を見せています。イランに対するアメリカの制裁は充分に効力を発揮してきましたが、仮想通貨による匿名性の高い支払いが可能になってから制裁は回避されつつあります。
アメリカの財務省でもこの状況を認識しており、イランの企業や国民相手の取引に対して、仮想通貨市場に注意を促しています。いくつかの取引サイトでは、イランからのものだと特定されたバイヤーをブロックしたり、イランの顧客資金を差し押さえたりもしています。
しかし仮想通貨の特性として、コントロールや監視が極めて難しいため、こうした対応でも限定的な効果しか得られないでしょう。今後イランは仮想通貨の利用に重点を置くことで、現在の制裁を回避して、カによる制裁からの生き残りを図る道を選ぶかもしれません。
参考
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