仮想通貨市況

19日の仮想通貨ビットコイン(BTC)は、前日比一時+10%と大幅高に。最大手デリバティブ取引所BitMEXでは、急反発に伴い、ショートが4700BTCロスカットされた。

主要アルトも反発して全面高となっているが、市況悪化が顕著なアルトへの懐疑心からか、BTCの騰落率に対して戻りは鈍く、下落分を埋め合わせるには至っていない。

6,000ドルの買い板に至らず、直近最安値のダブルボトムが意識されたほか、MACDのダイバージェンスも確認されている。今回の急騰で日足大陽線を確定させており、売り方が躊躇しやすい状況に。ただ、底打ちと判断するためには底固めとなる日柄調整は必要だろう。

仮想通貨情報サイトCoinDanceのデータによれば、フィンランド拠点のP2P取引所LocalBitcoinsで、南米ベネズエラのBTC取引量(Bolivar建て)がで急増している。

背景には、米国から経済制裁を受けるベネズエラの政情不安および、ハイパーインフレの通貨不安があるとみられる。ベネズエラのマドゥロ大統領は11月、公務員並びに退職者と年金受給者に対し、クリスマスボーナスの支払いを政府発行の仮想通貨「ペトロ」で支給すると発表していた。

2019年2月の週間平均取引量は2,000BTC程度にとどまっていたが、同年12月にかけてBolivar建てのボリュームは約10倍に。現時点では、BTC市況に対する影響は軽微だと思われるが、今後、アルゼンチンなど通貨不安を抱える国からの流入量が増加すれば軽視できない。

総悲観にあったBTC市場

Deribitのオプションデータでは、PCR(プットコールレシオ)が急上昇し、相場の先行きに対して弱気の投資家が増加していたことを示唆していた。PCRはプット取引高をコール取引高で割り算した値をグラフ化したインジケーターだ。

急落・急反発前の18日15時(6600ドル)時点はPCR:63%だったので、比較するとその差は顕著である。

BitMEXのファンディングレートがショート払い(ロング受け取り)になっていたほか、bitFlyerのSPOT/FX乖離率も1%を割り込むなど、売りが過熱していたこともあり、大口の売り玉決済をトリガーに、連鎖的な反騰を引き起こした可能性が考えられる。

ファンディングレートは手数料の一種で、BitMEXでポジションを持っている場合、8時間ごと(日本時間5:00、13:00、21:00)一定時間ごとに徴収される仕組みだ。

ショート精算に伴い、未決済建玉(OI)も大幅に減少している。

マイニング損益分岐点

ビットコイン(BTC)続落で7000ドルを割り込み、マイナーの採算(損益分岐点)ライン割れによる現物売りが懸念される中、BTC情報アラート📊@btc_status)を提供するTainoko(@btc_tainoko)氏が、新たなインジケーターを公開した。過去普及率の高いS9を始め、半減期後の普及を想定した3機までカバーしている。今年2月に公開したBTCマイナー損益分岐点インジケーター『Maison (Free)』と同じ、mineCC(@ETHxCC)氏が考案した計算式を利用しているという。

また、海外の仮想通貨トレーダーのThe Crypto Dog氏は、評価損益と底打ちシグナルの関係性について、ツイッター上で考察した。

ビットコインの未実現益(差金決済、反対売買を行う前)は現在のところ低く、ダウントレンドの傾向が見られる。それと同時に、含み損のトレンドは上昇している。

過去を振り返ると、これら2つのチャートがクロスしたときは底打ちのシグナルであったため、この点には留意が必要だ。

懸念される売り圧は

Whale Alertで9時53分、仮想通貨詐欺事例「PlusToken」のウォレットから、再び大口のイーサリアム送金が確認されたことで、イーサリアム(ETH)およびビットコイン(BTC)の一時急落をもたらした。

中国に本拠を置くプラストークンは、BTCまたはEHTで高い収益率を謳っていた仮想通貨ウォレットだ。PlusTokenウォレットが大量のビットコインをHuobi OTCブローカーに送った数日後、9月23日にテザーでのBTC取引が増加。24日の急落のトリガーとなった可能性がある。

ポンジスキームであったことが発覚したPlusTokenの運営関係者は、180,000BTC、6,400,000ETH、111,000 USDTに及ぶ大量のBTC及びETHを保有しているとされており、複数の関係者が逮捕された後も、HuobiプラットフォームでOTCブローカーなどを通じた資金移動および資金洗浄は行われ続け、すでに1.85億ドル(200億円)相当の現金化に成功しているとされる。

データ分析企業Chainalysisの報告によれば、PlusTokenのBTC売却と下落トレンドには一定の相関性が認められる。

出典:Chanalysis

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