
どうも墨汁うまい(@bokujyuumai)です。イーサリアム(Ethereum)の大型アップデートイスタンブールは、2019年12月8日に安全に実装されましたが、2020年1月初旬には再度ハードフォークが予定されており、ムーアグレイシャー(Muir Glacier)の実装が計画されています。
本稿ではイーサリアムのさらなる大型アップデート「ムーアグレイシャー」と、2020年のイーサリアムについて、解説を行います。
サンクトペテルブルクアップデート
イーサリアムのムーアグレイシャーアップデートとは、メトロポリスの中のアップデートとなるイスタンブール実装の次に行われるハードフォークで、簡単に言えばイスタンブールの補足アップデートという位置づけになります。
これはイスタンブール実装前のバージョンがコンスタンティノープルではなく、正しくは「サンクトペテルブルク」というバージョンであったのと同様です。メトロポリスではEIP-1283を実装した場合、一部のコントラクトがリエントランシー攻撃によりハックされる可能性があったため、コンスタンティノープル実装後、即座にサンクトペテルブルクが実装されたのです。
つまりイスタンブール実装前のイーサリアムのバージョンはコンスタンティノープルではなく、サンクトペテルブルクであったということになります。イスタンブール実装の後のバージョンは「ベルリン」アップデートと名付けられていますが、ベルリン実装前は正式には「ムーアグレイシャー」ということになります。
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EIP-2384:ディフィカルティボム遅延
イーサリアムのムーアグレイシャーは、ブロック#920000で実装されるアップデートで、EIP-2384のディフィカルティボム遅延のみが含まれているハードフォークとなります。ムーアグレイシャーでのディフィカルティボム調整は約2年後となっており、次に実装されるベルリンアップデートではディフィカルティボムの影響は見られないということになります。
現在はブロック生成平均時間が17秒まで上昇しており、ブロック生成に約30%の遅延が発生していることになります。アップデートが行われるブロック数まで、現在のブロック高から残り5万ブロック前後であるため、
86400秒(1日) / 17秒(1ブロック平均)= 5082.35ブロック(1日におけるブロック生成総数)
50,000ブロック / 5082.35ブロック = 約10日
という計算になり、予定日時は日本時間で1月1日午後13時前後になると予想されます。次のディフィカルティ上昇ではブロック生成時間が19秒となるため、最大でも正月三が日中にはムーアグレイシャーが実装されることになるでしょう。
出典:Etherscan
ETH2とディフィカルティボムの長期延長の理由
ディフィカルティボムは難易度が指数関数的に上昇することで、破棄するチェーンにマイナーが残らないことを目的としています。ですがオリジナルのEIP-2387ではディフィカルティボムの影響下における、特定のブロック高に到達する予測が難しいことで、複雑さが増していると指摘されています。
実際にはマイナーの移行を促すための重要プロトコルであり、ハードフォーク周期ごとに調整されることが望ましいです。今回イーサリアムのコアデベロッパーがこのディフィカルティボム長期延期の実装に合意したのは、2020年からローンチ予定のETH2のビーコンチェーン(Beacon Chain)と、そのベースとなるレガシーチェーンのディフィカルティボムに依存した変更・誤解を避けるためといえるでしょう。
ディフィカルティボムを次の8ヶ月前後に調整した場合、Beacon Chainのデポジットコントラクトやジェネシスブロック(最初のブロック)開始と被る可能性はゼロではありません。ベルリン実装を遅らせることは可能でも、ディフィカルティボムを遅らせるにはハードフォークが必須となるため、今回のムーアグレイシャー実装に至ったと考えられます。
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ムーアグレイシャーへのノードアップデート率
イスタンブール実装にディフィカルティボム調整が含まれなかったことから、マイナーはムーアグレイシャーへの移行を確実に行います。現在のアップデート率は55.5%となっており、マイナー及びマイニングプールのノードの大半は、既にアップデート済みと見られます。
パリティ(Parity)は開発とコード管理をダオ(DAO)化し、イーサリアム開発から退くと発表していますが、既に6日前にムーアグレイシャー実装済みの最新版を公開済みです。ですが、イスタンブール実装時と同様に現在のアップデート率は非常に悪く、25%のみとなっています。
出典:Ethernodes
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