米ドル衰退はビットコイン(BTC)の騰勢になるか?FRBの金利引き下げ効果を分析

暗号資産(仮想通貨)業界で度々ささやかれていることは、世界経済秩序の崩壊が、デジタル通貨の増加につながるという見解です。伝統的な法定通貨の世界は、分散型の仮想通貨とは対極にあり、法定通貨が減少すれば仮想通貨は増加するという関係にあるとされています。米ドルの凋落は、ビットコイン(BTC)の騰勢につながるかどうか、現時点までの動きを総括しましょう。

FRBの3度の金利引き下げは古い形の量的緩和

ビットコインは、伝統的な金融界の欠陥に耐えるために誕生したとは言え、少なくとも19年末までに、伝統的な金融システムが失速した際に決定的に有効な役割を果たしてはいません。しかし過去の政治的、経済的な混乱の際に、ビットコインが金(ゴールド)のように一定の役割を果たした例がいくつかあることも事実です。

金利の下落、経済活動の停滞、マクロ経済への注入など、経済大国の中で経済活動を刺激するため、中央銀行などによる多くの金融政策があります。その代表的な例として、米連邦準備制度理事会(FRB)は今回、一度ならず3回も金利引き下げを断行して、経済の活性化を図ろうとしました。

パウエル議長は否定していますが、多くのアナリストは、これは古い形の「量的金融緩和政策」だと主張しています。

ドルの発行量増加はビットコインに有利?

経済に流通するドルの発行量が増えれば、ビットコイン価格に有利な2つの前提条件が生まれます。その1つは、ドル建てではあっても市場に流動性を増加させること、第2に(望ましい目的である)インフレが原因となってドルの価値が下落することで、ドル建て評価される資産に対する不信感が生まれることです。

不安な市民はドルを仮想通貨に交換します。このような前提に基づくと、FRB が採用した量的緩和もしくは金利切り下げの動きは、ビットコインやその他仮想通貨への波及効果があるはずです。

今回のFRBの量的緩和はこれまでとは異なる緩和です。FRBは19年7月に、2008-09年の経済危機後初めて2~2.25%へ金利引き下げを断行しました。10月までに3回引き下げ、現行の金利は1.5~1.75%です。この間に膨大な流動姓の増大を生み出したはずです。

量的緩和は逆効果か?ビットコイン価格は30%下落

FRBは一連のドル供給は経済活動を維持するほかに理由はなく、量的緩和ではないという見解を取っていますが、仮想通貨市場の時価総額をはるかに超えるドル注入は幸か不幸か、大した成果をもたらしていません。仮想通貨アナリストのアレックス・クリューガー(Alex Kruger)氏は、この間のビットコインについて「ビットコインはマクロ変数に反応しない」とコメントしました。

FRBによる過激な流動性増加の措置は、ビットコイン価格上昇の完璧な触媒になるはずでしたが、仮想通貨市場は動きませんでした。FRBの金利引き下げ後、ビットコイン価格は30%余り下落しています。

ビットコインは、世界の景気(経済環境)変動に耐えるだけでなく、最終的にはそれに取って代わる金融資産として見なされています。FRBの金利引き下げ政策は、疑いもなく市場に流動性をもたらし、市場に注入された膨大なドルによって仮想通貨市場に強気の見方を呼び込んだはずです。しかし、それが即ビットコイン価格上昇の触媒になるというのは近視眼的見方であり、長期的に見て初めて効果が現れるというのが正解かもしれません。

ビットコイン(BTC)の価格・相場・チャート

参考
Bitcoin unmoved by Federal Reserve flooding the economy

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