ブロックチェーン技術巡る米中攻防

先日開催された大型カンファレンス「Hong Kong FinTech Week 2019」にて、米Digital Asset社の代表など複数の有識者は米中のブロックチェーン技術競争に対する考察を示した。

中国の習近平国家主席は昨年10月、中国共産党がブロックチェーンを重要な革新的ブレークスルーのコア技術と見なし、テクノロジー開発の推進に取り組むべきだと言及。ビットコイン(BTC)の価格高騰をもたらした。

中国政府は仮想通貨取引を禁止する一方、ブロックチェーン産業を国家の中核事業と位置づけて促進していくことを明示したことで、特にデジタル人民元の発行計画は、国際的な注目を集める。

米国の動向

この動きに触発された米連銀(FRB)のPowell議長は、議員宛ての手紙で、世界各国のCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)の進捗に注意しながら、独自の「デジタルドル」によるメリットと費用を慎重に調査していると伝達するも、「未だデジタルドル発行の必要性はない」としている。

他にも、米CFTC(米商品先物取引委員会)の前会長であるクリストファー・ジャンカルロ氏はつい先日、デジタルドル(デジタル化したUSD)を促進するための非営利団体「Digital Dollar Foundation」を設立した。

これらを理由に、米中のブロックチェーン業界における競争が激化しているとの見方も存在するが、Digital AssetのCEOであるYuval Rooz氏はこの考えに同調していない。

私は、習国家主席の発言で、技術拡大戦争が巻き起こったとは見ていない。むしろDigital Assetのような米国企業の分散台帳技術を利用したい、あるいは投資をしたい中国企業と協力関係を結ぶ絶好機と考えている。

そして、米中のブロックチェーン企業が競争をし合うのではなく、技術的な協力関係を結ぶべきだとし、上海に拠点を置くブロックチェーン企業「Blockshine」とDigital Assetとの提携も、その一環であることを明らかにした。

なお、米R3のDavid Rutter CEOは、ブロックチェーン技術の普及の鍵は規制当局にあると考えているようだ。現在の多くの規制当局のスタンスは、この新興技術の発展を阻害する方向に力が働いているが、彼らの立場次第では普及が進む可能性につながると言及した。

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