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中国の暦における新年の始まりとする「春節(旧正月)」は、2020年は1月25日から始まります。この時期、中国の投資家が資産を現金化するため、暗号資産(仮想通貨)市場では売りの圧力が高まるという見解が強くあります。しかし、この説を否定する考えも出てきました。

春節の影響はない?

暦に関連する「カレンダー効果」がどのように市場に影響するかは、詳細に記録されており、特定の休日がアノマリー(経験則による価格変動などの事象)を引き起こすことはよく知られています。例えばトレーダーやアナリストが、アメリカ株式市場における冬休み期間中の影響について、長年にわたって分析していることからも分かります。

仮想通貨のグローバルな性質から、ビットコイン(BTC)市場でこのようなアノマリーが起こることは考えにくいとされてきましたが、中国を中心として続いた数年間の価格動向から、伝統的なイベントがビットコインの価格に影響するという考えが、多くのビットコイン関係者の間で広がっています。

その中で最も興味深いイベントが、8月から9月に行われる「中元節(Ghost Festival)」です。霊が解放されるという迷信から、事業家たちは事業活動を自粛して、ビットコイン市場への影響を静観するとされています。

2020年、中国の春節は1月25日に訪れますが、トレーダーはこのイベントに先行して売りが増えると予測しています。その理由として、多くの人がビットコインを法定通貨に換え、春節の大宴会に備えるためと考えられています。ビットコインは2018年と2019年の春節においても、先立って価格が下落しています。

これまで、春節に関わるとされた価格下落は2~4週間先行して始まっていましたが、しかしビットコインの歴史を遡ってみれば、この極めて短期間の影響を否定する結果も見えてきます。トレーダーのアレックス・クリューガー(Alex Kruger)氏は、春節による値下がりは現在では起こり得ないと見ています。彼は2011年から2019年の春節直前3週間における、1日あたりのビットコイン価格動向をまとめ、その結果ほとんど横ばいで推移していることを証拠に挙げました。

24日のビットコイン(BTC)下落は春節関係?

一方、春節前の需要減に危機感を抱くトレーダーも少なくはないことも示唆されています。1月24日のうちに、ビットコインはニューヨーク市場価格において8,281ドル(約910,910円)になるなどと、前日の価格から4%ほど値を下げ、アルトコインでもイーサリアムクラシック(ETC)が8.18ドル(約899円)という11%以上下落するなどの事態が起きました。

仮想通貨デリバティブ取引所ビットメックス(BitMex)の共同創設者兼最高経営責任者(CEO)であるアーサー・ヘイズ(Arthur Hayes)氏は、自身のツイッターでボラティリティと出来高が暴落すると述べています。

この点について米投資会社オアンダ(OANDA)の市場アナリストであるエド・モーヤ(Ed Moya)氏は「リスクの高い資産の短期的見通しに対する投資家の懐疑的な見解が広がる中で、ビットコインとその他すべての仮想通貨がプレッシャーを受けている。中央銀行が団結してデジタル通貨利用の検討を開始し、ビットコイン版ETFの可能性も薄れてしまった。安全な投資の矛先は仮想通貨ではなく債券市場に向けられるだろう」と述べています。

また、米仮想通貨調査企業のチェイナリシス(Chainalysis)によれば、上位50の取引所の内20がアジア太平洋地域にあり、2019年上半期にはビットコイン全取引量の約40%を占めていたとのことです。しかもその大半は中国に拠点を定めていることも発表しています。こうした状況を考慮すると、春節の影響という考えを無視するのは難しいかもしれません。

ビットコイン(BTC)の価格・相場・チャート

参考
No, Chinese New Year Won’t Trigger a Bitcoin Pullback: Historical Data Shows
Bitcoin Slumps in Wake of Chinese New Year Slowdown Warning

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