
ビットコイン(BTC)のトランザクション処理能力には限界があります。秒間7回までしかトランザクションをできず、また混雑時にはトランザクションが高騰、処理まで数時間を必要とすることがあります。
Lightning Networkとは?
こういった限定的なビットコインの処理能力を解決する方法、または補完する方法としてライトニングネットワーク(Lightning Network)があります。本コラムでは、Lightning Networkを初心者にも分かりやすく理解をしてもらえるように解説をします。
イメージとしては、メインのブロックチェーンの一つ上の層に決済レイヤー(レイヤー2、セカンドレイヤーとも呼ばれます)を構築して、手数料がほとんどゼロに近く、また高速な送金を可能にする技術です。
この新しいレイヤーは、メインのブロックチェーンとは違うレイヤーで、いわゆるオフチェーンです。それでありながら、ユーザーは誰かに秘密鍵を預けずに自分の資産をコントロールすることができる点が画期的だとされています。
また、手数料がゼロで数サトシ単位で送金もできることから通常の決済のような送金だけでなく、マイクロペイメントにも応用が可能であると期待されています。
Lightning Networkは、すでにメインネットで稼働が始まっており、2019年始めの時点では、まだ使い勝手に問題がありますが、恐らく今年中により大きな進捗をすることは間違いないでしょう。
Lightning Networkの仕組み
双方向のペイメントチャネルであるLightning Networkは、ペイメントチャネルを利用した技術で、第三者も含む双方向のペイメントチャンネルを構築します。ペイメントチャネルは、二者間で送金用のチャネルを開き、送金しあうことができる技術です。
まず、送信者と受信者が鍵を持つマルチシグのウォレットに固定のビットコインをデポジットします。このとき、チャネル開設のスクリプトを載せてトランザクションを送ることで「チャネル」というものが開きます。
チャネルにはデポジットした人同士のビットコインが供託金を乗っており、ビットコインを持っていることが証明されます。
Lightining Network上に開いている多くのチャネルがあり、それらのチャネルを経由して、目的の相手に送金をします。より多くのチャネルと繋がっているノードがハブの役割を果たします。
イメージとしては下記の図です。なお、このビジュアルは執筆時点で実際に稼働しているネットワークで、すでにこれだけのネットワークが構築されつつあります。
出典:https://1ml.com/visual/network
このネットワーク内でビットコインをやり取りするトランザクションが行われ、最終的にチャネルを閉じるときに、ひとつにまとめてビットコインのブロックチェーンのTXを発行するというものです。
2018年に大幅に進捗をしたLightning Network
Lightning Networkは、2018年にメインネットで稼働してから大幅に進捗している技術です。関連技術が昨年1年でどれだけ進捗をしているかについて振り返ります。
セグウィット(Segwit)トランザクションの増加
ネットワーク全体では、Segwitを用いたトランザクションが増加しています。2018年始の時点で10%だったSegwitトランザクションは、45%まで増加をしました。
このSegwitトランザクションの増加は、次にトランザクションが混雑するタイミングに手数料増加を軽減させることに繋がりますし、Lightning NetworkはSegwitありきで使えるものなので、Segwitのアダプションはポジティブな要素です。
出典:https://transactionfee.info/charts/payments/segwit
500BTC以上がLightning Network上にデポジットされる
Lightning Networkはメインネットで稼働し始めているもののまだ実験的なレベルであり、多額のビットコインを送金をすることは、キャパシティの関係でできなかったりします。しかし、Lightning Nodesの数は劇的に増加しています。
まだギークしか利用できないようなものですが、Lightning Networkが、より使いやすくなる未来はかなり確度が高いと言えるでしょう。執筆時点で約2万のチャネルが開いており、500BTC以上がLightning Network上にデポジットされています。
出典:https://p2sh.info/dashboard/db/lightning-network?orgId=1
2019年にLightning Networkはユーザーに見える形で進展
このように2018年には、ビットコインコミュニティではLightning Networkが大幅に進捗しており、2019年には、もう少しユーザーに見える形で進捗をすることが予想されます。
HashHubでも、Lightning Network関連の研究開発をしています。ゲームをしながら少額のビットコインをマイクロペイメントで受け取れるユーザーエクスペリエンスを実現しています。
参考:Lightning Network上で誰でも簡単にマイクロペイメントを受け取れる Denryu System βリリースのお知らせ
2019年には、このようにギークではないけれど、ややアーリーアダプターくらいの層までにリーチするようなウォレットやサービスなどが出ることが期待されます。
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