マスターカードがリブラ協会を脱退した理由
決済最大手マスターカードのCEOが、米フェイスブックが主導する仮想通貨リブラのプロジェクトへの参加を見送った理由を明かした。脱退したのは、昨年10月だった。
まず第一に、リブラのビジネスモデルが理解できないという。英フィナンシャルタイムズとのインタビューで、「収益化の仕組みが理解できない時は、そのビジネスを支持することはできない」と語っている。また、フェイスブックの「データの完全性」にも懸念が残っているとも説明した。
さらに、リブラは金融包摂の手段という位置づけだが、カリブラという専用のウォレットで利用されるとなると、マスターカードとしては疑問を禁じ得ないという。「利他的な考えと独自のウォレットの利用は矛盾していて、個人的には適切ではないと思う」との見解を示した。
運営組織「リブラ協会」のメンバーが、本人確認手続き(KYC)やマネーロンダリング対策といったコンプライアンスをしっかり遂行できるかという点にも懸念があるという。
マスターカードは昨年10月、ライバル企業Visaらと共にリブラ協会を離脱。当初は28社が創設メンバーとなる予定だったが、協会始動時には21社まで減少した。先月に、世界最大の多国籍携帯電話事業会社ボーダフォンも脱退。ボーダフォンは、自社のモバイル銀行サービスに専念すると説明している。