投資家視点でのテゾス(XTZ)を考える、新興スマートコントラクトプラットフォームのトークン

本連載シリーズは新しいスマートコントラクトブロックチェーンであるテゾス(Tezos)を特集しています。Tezosについての基本的な概要はこちらのコラムで配信しました。

関連:新しいスマートコントラクトブロックチェーンTezosとは?仕組みや特徴など

今回は投資家やトレーダーの視点でTezosのネイティブトークンであるXTZを概観してみましょう。これまでも解説した通り、Tezosのブロックチェーンの特徴は以下の通りです。

  • ブロック生成メカニズムは、LPoS(DPoSを改良したもの)
  • 形式検証が可能で安全なスマートコントラクト言語
  • 用途として最も進んでいるものは金融領域でSecurity Token事業者でのサポートが豊富

投資家視点でのテゾス(XTZ)を考える

テゾス(XTZ)は、既に世界の主要取引所、コインベース(Coinbase)やバイナンス(Binance)、ビットフィネックス(Bitfinex)などで上場しています。執筆時点でのTezosのチャートは以下のようになっており、比較的安定した価格推移をしています。

テゾスの価格チャート
出典:CoinMarketCap

テゾスの価格推移の特徴はビットコインとの相関性がないということです。一般的にアルトコイン・トークンは、ビットコインの価格が上昇する局面では価格が下がり、ビットコインの価格が安定しているタイミングや下落トレンドのときは価格が上がることが多いです。ビットコインの価格が上昇するときは、資金がトークンからビットコインへ還流するというアノマリーは長く信じられています。

しかし、テゾスにおいては、その傾向が見られません。バイナンス・リサーチ(Binance Research)が発表した上位20通貨の2019年のパフォーマンス及び相関関係について調査したレポートによると、最も他の通貨との相関性が高い通貨はイーサリアム(ETH)だったとしています。全体的に相関は依然として強く、ビットコインのドミナンスは68%前後に落ち着いたとしながらも、相関が低い通貨としてテゾス、他にはAtom(COSMOS)が挙げられています。

この相関性の低さはステーキングが可能なトークンであるということが影響しているだろうと考えられます。TezosではXTZを保有していることがブロック報酬に参加できる権利になり、ブロックを生成することができれば報酬を受取ることができます。つまり、金利のようなインカムゲインがあるアセットという特徴があります。現在、年間の推定報酬はおおよそ6.6%です。

一度ステーキングをする場合、14日間のロックアップ期間があるため、すぐには売却しにくいという事情があります。これが他の銘柄と比べて相関性が低い要因でしょう。同じく相関性が低いCOSMOSにおいてもロックアップ期間が21日設けられています。

ステーキング可能なトークンへの投資についての前提

Tezosに限らずではありますが、ステーキング可能なトークンへの投資についての前提にも触れましょう。

Tezosを保有するならステーキングをしないことは損失である

まず、重要な点は、ステーキング可能なトークンを保有していながら、ステーキングをしてないとしたら、それは損失であるということです。ステーキングトークンは、毎日トークンが新規で発行されているので、実態は希釈化です。もし保有しているのであれば、その新規生成利益は享受するべきです。バイナンスなど一部取引所では取引所アカウント内で保有しているだけでステーキング報酬を得られますが、それ以外ではステーキングプロバイダを利用することになります。日本ではSTIRなどの事業者が存在します。

ステーキング報酬を得ながらヘッジも可能

またトレードの選択肢としては、ステーキング報酬を得ながらヘッジすることも可能です。例えば、Tezosで金利6%の報酬を得ながら、もし金利4%でショートポジションを構築することができた場合、2%のアービトラージが可能です。この際、リスクは極めて低いですが、取引所の倒産などのサードパーティリスクは残っています。

本コラムでは、投資家やトレーダーの視点でTezosのネイティブトークンであるXTZを概観しました。参考になれば幸いです。

参考
2019 – Annual Crypto-Correlations Review

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