韓国中銀の仮想通貨発行はなし?CBDCには懐疑的

韓国銀行(Bank of Korea)では、中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)発行の必要性はないと考えられているようです。韓国国内で暗号資産(仮想通貨)取引が活気を帯びる中、韓国の中央銀行はCBDCに懐疑的なままです。

韓国銀行が警告

ニュースサイトのニュース・アジア(The news Asia)の報告によると、韓国銀行はデジタル資産とCBDCの可能性についての調査を続けており、専門の研究部門も開設されています。各国の中央銀行と同様に、韓国銀行もブロックチェーンをベースとしたデジタル資産の可能性模索にリソースを割くことになりました。

ニュース・アジアによると、韓国銀行執行役員のハン・ウン(Eun Han)氏は、「主要国におけるCBDCへの対応(CBDC Response Status of Major Countries)」と題したレポートを発表しました。韓国には既に成熟した電子決済システムがあり、改めてCBDCを検討する必要はないと述べており、電子決済事業は民間企業で充分に達成されていると考えられています。

例えば、サムスンペイ(Samsung Pay)はモバイル用決済サービスを充実させており、韓国内で最も使用されているメッセンジャーアプリ「カカオ(Kakao)」内ウォレットサービスのカカオペイ(KakaoPay)は、2018年にICOを通じてリリースされたクレイトン(Klaytn)というブロックチェーンプラットフォームのネイティブトークンであるクレイ(KLAY)をアプリ内支払いのために発行しています。

しかし、韓国市場はライトコイン(LTC)やドージコイン(DOGE)といった既存の仮想通貨による決済サービスをサポートしていますが、カカオペイにおけるデジタル資産利用の決済は未だ限られています。

各国は準備段階

ハン氏はレポートにて、CBDCのさらなる可能性についても言及しています。世界規模で見ると各国の中央銀行は、規模と用途の面でCBDCにさまざまなビジョンがあることを示唆しています。

欧州中央銀行では消費者によるデジタル資産の直接的な使用を認めていますが、他国の中央銀行は大規模な決済システムを構築する可能性もあり、例えばカナダ銀行においては、CBDCを活用して、より高速かつ信頼性の高い政府間決済システム構築まで考えられています。

実際にウルグアイやカンボジアの政府はコストパフォーマンスの高さから、マイクロペイメント向けのCBDCを開発していますが、ハン氏は、デジタル資産とフィンテックの両面で、すでにマイクロペイメントが使われていることを述べています。そして、大規模な政府間決済システムは、世界規模での韓国ウォンの受け入れが必要となるとも述べました。

韓国銀行総裁のイ・ジュヨル(Jooyeol Lee)氏は、他国の中央銀行との関係性から、決済技術と経済関係の変化に対して、規制当局も適応する必要があるいう意見ですが、一方でハン氏は、韓国銀行がCBDCを発行する考えを否定しています。中国人民銀行でさえデジタル元の発行時期を発表していない現状において、各国はまだCBDCの準備段階にあると言えます。

【参考】
BANK OF KOREA SEES NO REASON FOR CENTRAL BANK DIGITAL CURRENCY
Bank of Korea: “CBDC not likely to be issued”

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