取引所バイナンス(Binance)は、日本の取引所TAOTAOと連携して日本国内での展開を模索することを発表しました。それに伴い、既存のBinance.comにおける日本人向けサービスを段階的に停止することを発表しています。日本から登録したアカウントでログインすると、日本人へのサービスを順次停止する旨のアラートが出てきています。
そもそも、現在日本人へ仮想通貨売買のサービスを提供するためには日本の金融庁への登録が必須です。ただしこれまで日本のライセンスを保有している取引所より、ライセンスを保有していないBinanceのほうがユーザービリティ・サービス内容・取り扱いコイン数などが優れていたという背景から、日本居住者もBinanceを利用していたという背景があります。
しかし、今回を機にBinanceも正式にライセンスを保有する企業と提携関係を築き日本市場に参入することを模索するとしています。今回のコラムでは、Biancneが日本人向けのサービスを停止する影響を考察をします。1~3ヶ月の短期的な影響と3~10ヶ月の中期的な影響に分けて考察しましょう。
バイナンスの日本向けサービス停止により短期的影響
まず、バイナンスが日本のユーザーに対してサービスを停止した際、1~3カ月の間の短期的な影響について考察します。
日本人がアルトコインやトークンを買えなくなる
これまで日本人がトークンを購入する主要な取引所はBinance一択でした。取扱数と流動性、取引手数料の観点でBinance以外の選択肢はほとんどなかったといえます。先物やオプション取引では他に優良な取引所も存在しますが、現物取引所としては圧倒的な優位性があったと言えます。その取引所が利用できなくなるという点では、日本人はアルトコインやトークンへのアクセスを失います。
IEOに参加できなくなる
上記と関連をして、IEOへの参加ができなくなります。BinacneのIEOは本人確認済みのアカウントしか参加できないため、今後日本人はVPNを使用していようが、参加できなくなります。
国内市場の流動性が下がる
Binanceが日本市場を利用できなくなる影響は日本の取引所にも影響するでしょう。海外取引所の流動性を国内に持ち込んでいるトレーダーはある程度いました。典型的なものでは、海外取引所<>日本取引所のアービトラージです。このアービトラージがなくなることで日本市場の流動性は低下することが予想されます。
その他の海外取引所の台頭
Binanceが利用できなくなっても、その他の海外取引所を利用するユーザーは常に現れます。次に人気になる取引所は現れるのではないでしょうか。
バイナンスの日本向けサービス停止により中期的影響
次に3ヶ月から最大10ヶ月程度の中期的な影響について考えます。
国内市場で流通するビットコインの流通が減る
日本人が海外の取引所との接点を失う場合、恐らく日本国内市場のビットコインの流通量は減少することが予想されます。ビットコインが新規生成、つまりマイニングされる地域は中国とアメリカであり、それらから流通される市場がないと日本国内のビットコインが必然的に少なくなります。将来、ビットコインが本格的に価格上昇トレンドになった際に日本市場では海外に対してプレミアムが付く可能性もあるのではないかと筆者は考察しています。
一部のユーザーはVPNを使用してBinanceのサービスを利用する
Binanceが日本居住者のサービスを停止しても、VPNを使用すればサービスを一部利用できます。VPNは海外のサーバーを踏み台にインターネットにアクセスするサービスで、例えばシンガポールや香港からBinanceにアクセスすることができます。一部ユーザーはこのように利用するのではないかと予想されます。
日本の個人投資家はトークンを高値掴みする
恐らく、日本のライセンスを持つ取引所でも今後新規トークンが上場することが予想されます。最近ではコインチェックでステラ(XLM)が新規上場しました。しかし、今後、日本で新規トークンの上場が認められるようになっても、それらは海外市場で認められてある程度の価格が上昇した後です。つまり、日本人投資家がそれらを購入・投資するタイミングは遅く、高値掴みするような事例も増えるでしょう。
いかがでしたでしょうか。Binanceの日本人向けのサービス停止は、暗号通貨市場に関わる全てのプレーヤーが少なからず影響を与えるでしょう。今後の予想として参考になれば幸いです。
参考
・Binance
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