DeFi(分散型金融)の現在地、将来どのように企業活動や既存金融と結びつくのか

DeFi(分散型金融)の現在地

DeFi(分散型金融)は、イーサリアム(Ethereum)の最も主要なユースケースになりつつあります。DeFiは、さまざまなオープンソースの金融プロトコルが関連し合い金融サービスを構築できることが特徴です。

例えばメイカーダオ(MakerDAO)のプロトコルで発行したステーブルコインのDAIを、回バーネットワーク(KyberNetwork)のプロトコルを利用して他のトークンとスワップができたり、コンパウンド(Compound)でレンディングが行えたりさまざまな単一機能のプロトコルを複合的に利用できます。

それらのプロトコルを5−10つと複数利用し、金融サービスを構築するZerionのような事例もあります。Zerionはさまざまなプロトコルを統合して構築したインターフェイスです。

現在、レバレッジ用のプロトコルやマネーマーケットプロトコル等複数存在し、それらのスマートコントラクトは複雑に関連し合っています。

DeFiのスマートコントラクトには執筆時点で約8億ドル(約880億円)の資金がロックされており、これを担保にファイナンスが行われていたり、ステーブルコインの発行などのアクティビティが起きています。

しかしながら、このようなDeFiは、まだ既存金融機関や企業が利用できるようなものではなく、実際にそのような主体に使われている事例はあるとしてもごくわずかでしょう。現時点では、DeFiはパブリックブロックチェーン上を介して行われる暗号通貨のムーブメントの域を出ません。

DeFiは将来どのように企業活動や既存金融と結びつくのか

将来DeFiが企業活動や既存金融と結びつくことも十分にあるだろうと筆者は考えています。例えば、現在企業のブロックチェーン活用で盛んなセキュリティトークンや売掛債権のトークン化はいずれ、分散型金融の機能とは相性の良いものです。また、あるセキュリティトークンを担保にして、スマートコントラクトでファイナンスを行うことなどは考えられます。

担保に入れたセキュリティトークンは、借り入れした人が期日までに返済を行わない場合や、担保にした証券の価値が毀損した場合、自動で精算するようなことが可能です。これらは既にDeFiで行われている挙動で、例えばCompoundではETHを担保にこのようなファイナンスが行われ、世界中で顔も知らないユーザーから間接的にファイナンスを実行しています。

セキュリティトークンにこれらを当てはめることは、規制などの観点で現実的に感じない人もいるはずですが、技術基盤としては同じものを利用していてこれは可能です。むしろ技術的観点だけを見るならば、セキュリティトークンの多くはERC20互換で実装されていることが多く、ほとんどのDeFiはERC20トークンを基準に開発しており、開発コストは極めて低いと言えます。

現在、小規模なプライベートエクイティを担保にして借り入れすることはコスト面の観点から難しいですが、精算プロセスなどをスマートコントラクトでロジック化することができればこのようなファイナンスは可能になります。これが「アセット自体がプログラマブルになる」と言われる世界の金融体験であり、ブロックチェーン普及後の世界の体験であると言えます。

将来的にこのような将来像に結びつくのが今のDeFiです。なお、弊社HashHubと分散型金融の教育を目的としたコミュニティ「やさしいDeFi」は、4月25・26日にかけてブロックチェーンを使った金融アプリケーション開発を競うハッカソンを開催を予定しています。詳しくはこちらを御覧ください。

参考
DEFI PULSE

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