
HashHubの平野です。
HashHubを会社として創業して約半年になりました。HashHubは、自社プロダクト開発や、ブロックチェーン開発者や起業家向けのコワーキングスペースを行う会社です。
筆者自身は、起業経験は過去に複数ありますが、ブロックチェーンという領域自体はやはり特殊な要素も多いです。そこで自分自身も振り返るためにも、この領域で起業しているからこそ大切にしていることをポイントごとに整理して書きたいと思います。
解像度を高めること
多くのプレーヤーがブロックチェーンには可能性がある、大きいものになると信じている一方で、実際に何をすればよいか、具体的なアイデアを持ち合わせているプレーヤーは少ないです。
ペイパル(PayPal)の創業であるピーター・ティール(Peter Thiel)は、「1990年代に、インターネットは大きくなると多くの人がマクロの考察を得ても、そのなかで独自の計画に落とし込み小さな規模から初めない大部分の人は恩恵を受けなかった」ということを言っていたようです。これは現在のブロックチェーン領域と重なります。
「ブロックチェーンは絶対に来る未来」ここまで予想するのは簡単です。さらに言えば、それを信じ続けられるのもそんなに難しくないですが、より難易度が高いのはその後です。
バリューが集まる場所、適切なアングルで適切なタイミングを見極めること、それができたあと自身の今あるリソースでなにが実行可能かという判断が難しく、この見定めをとても意識しています。
詳しい人から素直に聞く、それが出来る仕組み作りも
ブロックチェーン領域と一つに括っても、その中では、カテゴリーはかなり細分化されます。細分化されたそれぞれのカテゴリーに関する知識を得ることは最早不可能であり、それらを網羅しようとすれば学習だけで毎日が過ぎてしまいます。
であれば、それぞれのプロから素直に聞いたり、情報を得たいときに得れるような仕組み作りのほうが重要だと思っています。ちなみにその仕組作りは色々しているつもりですが、その一つはリサーチコミュニティのd10n Labだったりもします。
批判だけするのは常に正しい
ブロックチェーンの技術は、未だ黎明期です。そういった黎明期の業界は、全てのものが発展途上なので、それらに対しする批判はとりあえず正解となるので、その点は気をつけたほうがいいでしょう。
「~をブロックチェーンでやっても意味がない」「そのインセンティブ設計は上手くいかない」と批判をしていれば、その批判は9割以上正解のはずです。実際に黎明期の今、多くのプロジェクトは失敗に終わるからです。
しかしさらに重要な点は、なにが本当に価値があるかを見定め続けることです。「XXのプロジェクトのトークン設計のYYの部分はうまくいかないと思うけど、ZZのような感じにすればましになるかもしれない」といった建設的な議論を行う必要性があり、逆にこれができないと今のフェーズのブロックチェーン領域の進展は難しいかもしれません。
評論しながら、多くのものを因数分解して理解し、同時にビジネスと投資を行い、全力でポジションを取っていくのが本当の正解だと考えています。
トラストレス原理主義者にも、その逆にもならない
ブロックチェーン業界には、多くのものをトラストレス、またはトラストレスに近い形にできたら良いよね、という考え方があります。
研究者やリサーチャーとしては、そこをしっかり開発するのは良いと思うのですが、事業を行う場合はそうもいきません。今その時点でプロダクションにできるための最適な形は何かということをよく考えています。
最近ですと、国内から出てきたゲームアプリケーションのMy Crypto Heros(マイクリプトヒーローズ )は、サーバーを多用したアーキテクチャーでゲームロジックをブロックチェーンの外で構築しながらも、アセット管理の部分だけをブロックチェーンに載せるなど工夫が見られ、そういった今の時点でできることの模索がとても大事だと感じています。
折れない心
最後に心が折れないということも大切です。ブロックチェーン領域の難しいところは、暗号通貨市場の価格によって業界が左右されることです。
相場下落は、大衆の関心や資金調達、新規流入者の減少に顕著に現れます。また、業界にはETH建てで資金調達したプロジェクトも一定数いますし、そういった企業は暗号通貨の価格に支えられている状態とも言え、相場が苦しくなると経営が左右されます。そしてそういったプロジェクトが取引先にいると、影響の余波を受けたりします。
このような状況になっても大丈夫なように財務管理すること、そして心を強く持つことが大事だというのが2018年の教訓です。簡単にポイントを整理してみましたが、書き連ねても自分への見直しの意味も強いです。参考になればと思います。
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