米最大手投資信託会社フィデリティ・インベストメンツ(Fidelity Investments)の暗号資産(仮想通貨)サービス部門であるフィデリティデジタルアセッツ(Fidelity Digital Assets/FDA)はこのほど、機関投資家が仮想通貨市場に異常なほどの関心を示している事実を確認しました。
3月のビットコイン暴落後、投資家の相談相次ぎ関心高まる
ウォールストリートは3月12日、ウォール街大暴落(1929年)さながらの「暗黒の木曜日(ブラックサーズデイ)」を迎えました。市場の流動性は枯渇(1日に50%下落)しました。
対照的にビットコイン に対する機関投資家の関心が高まっています。業界メディアの「The Block」のニュースディレクターであるフランク・チャパロ(Frank Chaparro)氏はその事実を確認し、フィデリティのスポークスマンの見解を引用して「取引面からすると、当社は毎月のように新たなクライアントを獲得している」と伝えています。
FDAは取引の流動性を高めるため、機関投資家向けの取引所ErisXの現物市場を自社のプラットホームに統合したほか、年金ファンドやファミリーオフィスからの投資相談が増え、ビットコイン への関心が高まっています。
BTCは「価値の保存」か「デジタルゴールド」かの議論高まる
このような傾向が顕著になった理由について、FDAは「BTCが価値の保存(store of value)やデジタルゴールドであるか否かの議論が高まっている」という事実を挙げて、それが投資家の共感を呼んでいると指摘しています。
ブルームバーグ(Bloomberg)の最近のリポートによると、コモディティデスクのマイク・マクグローン(Mike McGlone)氏は、「2020年にS&P500がほぼ22%下落したのに対して、BTCは僅かに5%下落で済んでいる」と述べ、仮想通貨はゴールド(金)のような需要、成熟、業績を示していると説明しています。
個人投資家も首を突っ込み大量買い増える
最近の仮想通貨市場動向については、個人投資家もまた最近のビットコイン ブームに参加しようとしているデータがあります。現に初心者に人気の取引所コインベース(Coinbase)では、ブラックサーズデイに価格が暴落した機会に、大量買いが目立って増えたと次のように報告しています。
「われわれ個人向け仲買業者の顧客は、下落相場のバイヤーであり、BTCは好んで買われた。当社顧客は特に売りより60%が買いであり、(3月の)暴落の際には市場の底値を利して、極めて高いボラティリティの中で強い需要を示したことから、売りに対する買いが67%にまで跳ね上がった」
投資家の指向はショートではなくロング
このようなことは、ほかの数値にも反映されています。例えば、仮想通貨トレーダーのニック・パテル(Nik Patel)氏は、英国では実績のある個人向け仲買業者3社が、ビットコイン はロングの姿勢に傾いたと語っています。
また、オンライン・デリバティブサイトのIG.comは、ビットコインを取引しているクライアントの78%のアカウントが、ショート(売り)が22%だったのに対して、78%はロングの姿勢だったことを明らかにしています。パテル氏は「過去数週間、家族や友人からビットコインに関する電話やメールが殺到した」と、投資家の強い関心示す実話を明かしています。
参考
・Report: Institutional Interest in Crypto Market Is on the Rise
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