機関投資家はビットコインを買い集めている?ウォール街がBTCに注目する理由とは

新型コロナウイルスによる影響で3月に金融市場の大きな影響が見え始めた頃、機関投資家のビットコイン(BTC)の購入が増えています。ビットコイン投資信託であるグレースケールへの資金流入が増えているのです。

グレイスケールの資金流入は過去最高を記録

グレースケール・ビットコイン・トラスト(Grayscale Bitcoin Trust)は、米国籍のオープンエンド型グランター・トラストです。同信託の受益証券は、投資対象をビットコインのみとした初の証券です。1受益証券当たりのビットコイン保有比率がビットコイン市場価格(手数料・費用控除後)に連動する投資成果を目指します。適格投資家は、私募により日次の1受益証券当たりビットコイン持分価値で投資できることが特徴です。

現在ではバックト(Bakkt)も出てきていますが、アメリカの機関投資家がビットコインの現物に実質的に投資をする手段として長らく利用されているものが、このグレースケールです。

グレースケールのビットコイン信託の購入された金額は2020Q1に過去最高を記録し、特に3月の資金流入が増えていることが明らかになっています。現在、グレイスケールの全ての投資信託では5億370万ドル(約550億円)であることが発表されていましす。3月にはビットコイン投資信託に、週あたり約800万ドル(約9億円)の資金が流入しています。同社はこれらの88%、つまりほとんどがヘッジファンドからの資金流入であると発表しています。

グレースケールBTCデータ
出典:Digital Asset Investment Report

ウォール街はなぜ今ビットコインに注目するのか?

今なぜ投資家はビットコインに注目するのでしょうか。こちらのコラム「世界の中央銀行が利下げと大規模緩和、ポジションを見直しされるビットコイン(BTC)」でも説明しましたが、まず第一にコロナウイルスの対応に追われ、世界はゼロ金利と大規模な金融緩和をしていることが挙げられるでしょう。マネーの供給量は増えており財政規律が指摘されますが、ビットコインは当初の供給スケジュールを維持しています。

第二に資金の向かう先がないという背景もあるでしょう。金利も低くなって株式は官製相場です。執筆時点で金融緩和によって株式市場は崩壊を免れていますが、経済活動は大幅に制限されており、各社の決算は悪化するでしょう。こういったことを考慮すると、買うものがなくて、ビットコインに資金がいっているというのが筆者の感覚としては強く、金融緩和と財政出動からビットコインが注目されているものの、同時にファンダメンタルズが存在しない強さもあるにではないかと推察しています。

こういった状況の中でビットコインの供給スケジュールが調整される4年に一度のイベントである半減期は、5月12日頃に予定されています。半減期イベントに合わせたビットコインの状況としては良い相場背景であると言えるのではないでしょうか。

ビットコイン(BTC)の価格・相場・チャート

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