DApss、DEXという言葉の意味を考える、分散化はミドルウェアプロトコルに変容するという仮説

DAppsとかDEXは、非中央集権なアプリケーション、非中央集権なエクスチェンジという意味の言葉でした。しかし、ほぼ全てのアプリケーション、エクスチェンジに管理者はいることはもはや周知の通りです。

DApssとDEXという言葉の意味を考える

米国証券取引委員会(SEC)は、分散型取引所イーサデルタ(EtherDelta)が未登録の証券取引所であると発表しました。イーサデルタ創設者のザカリー・コバーン(Zechary Coburn)氏は命令に応じ7万5,000ドル(約820万円)の罰金を支払うことに同意しています。

管理者がいなく検閲されないというゴールが、当初のDEX、DAppsであったはずですが、その言葉の使われ方と実態は現在では大きく異なっています。

最近、筆者は「DApps=非中央集権的なプロトコルの上に存在しているアプリケーション」であると個人的に捉えています。

アプリケーション自体が分散化しているのではなく、分散しているプロトコルの上に存在しているアプリケーションという捉え方です。多くのDAppsが株式会社によって営利目的で運営されている今の状況は、このような捉え方の方が適切ではないだろうかと考えています。

アプリケーションは分散化すると、ミドルウェアプロトコルに変容する

分散型アプリは、最初はそれを推進する起業家がいて、それを時間をかけて徐々に分散化していくという考え方があります。以前、分散取型ネットワークのバンコール(Bancor)は分散化は旅路のようなものという主旨のブログを書いていました。

参考:Decentralization is a Journey, Not a Destination

バンコール以外にも、ローンチ初期では安全のためにスマートコントラクトを停止できるコードを入れておいたり、徐々にガバナンスを外部に移譲していくようなロードマップのプロジェクトは多いです。

しかし、その後、仮に分散化したとしても、恐らくより使いやすいポータルインターフェイスなどを作るサードパーティーの動きが活発になります。そうするともはやそれは分散型”アプリケーション”というより”プロトコル”に近い存在になるのではないかとも考えられます。つまりミドルウェアプロトコルです。イーサリアム(Ethereum)上においては、オーガー(Augur)やメイカーダオ(MakerDAO)、ゼロエックス(0x)などがそれにあたります。

これについてはこちらのレポートで解説をしています。

つまり分散型アプリケーションは存在せず、パブリックプロトコルにおけるミドルウェアに変容し、分散化されたものはミドルウェアプロトコルだけが存在するという仮説です。この仮説を証明するものとして、現時点では真に分散化したアプリケーションは見当たりません。

議論の土台として考えて頂ければと思います。筆者自身もこれについては今後より深く考察していきたいです。

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