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FTXのCEOであるSBF氏(Sam-Bankman-Fried)が、FTXとAlamedaによって設立されたSerum FoundationがSolana(ソラナ)ブロックチェーン上にSerumと名付けられたDEX(分散型取引所)構築を計画していること発表しました。

Serumは、ソラナのメインネット上で実行される指値注文も可能なノンカストディアルのDEXです。Serumはオーダーブックを持つDEXという特徴のほか、取引所トークンSRMの存在や、ビットコインなど合成トークン、分散型ステーブルコイン、分散型オラクルをサポートしています。またDeFiエコシステムが進展しているイーサリアムとの互換性があります。

従来よりソラナはローコスト、ハイスピードのDeFi(分散型金融)エコシステム構築を目指していましたが、今回のソラナ上のSerum発表は、DeFiの新たなフェーズを予感させるものと言えるでしょう。

ソラナは、2020年にメインネットベータ版をローンチをしたスマートコントラクトが実行できる汎用ブロックチェーンです。「高速な処理ができるブロックチェーン」と表現されるプロジェクトは他にも複数存在しますが、その多くが秒間50-100トランザクションです。ソラナの場合は、秒間で5万トランザクションを実行できる点でゲームチェンジャーだと期待されます。ソラナについて基礎的な情報はこちらの「Solanaとは?秒間5万トランザクションを処理できるブロックチェーン」で紹介しています。

ソラナ上のDEXプロジェクトSerumはDeFiの新たなフェーズとなるか

現時点でDeFi(分散型金融)エコシステムが最も発達しているのはイーサリアムであると言えます。MakerDAOによる分散型ステーブルコインDAIやレンディングプロトコルCompoundから始まり、Bancor、Uniswap、Curve、BalancerなどのAMM(自動マーケットメイカー)の仕組みを持つDEXなどの主要アプリやアグリゲーター、情報サイトのほとんどはイーサリアム上に存在しています。最近ではDEXを用いた資金調達兼流動性提供手段としてDeFiファーミングとDEXの組み合わせが盛り上がりを見せるなど、新たな金融市場として注目されています。

一方で昨今のDeFiの盛り上がりとともに高まるガスコストや取引スピードの遅さはイーサリアムで課題視される点であり、金融市場としてCEX(集権型取引所)と比較すると見劣りする点だと言えるでしょう。この点はソラナのガスコスト効率の良さと処理スピードの速さが期待されます。

またUniswapに代表されるAMMも大きな流動性を獲得できるようになってきましたが、インセンティブを与えなければ流動性は小さくなり、スリッページが大きくなることもあるため、流動性提供の方法として最適なメカニズムであるかどうかは資本効率という点で未だ疑問視される部分もあります。

AlamedaとFTXが関連するDeFiプロジェクト

Serumには、AlamedaとFTXという2つの事業が関連するDeFiプロジェクトであるという点は着目すべき点でしょう。Alamedaは1日に数十億ドルの取引が行われる暗号資産領域の主要流動性提供者の一つであり、過去12ヶ月間にFTXに対して流動性を提供することでFTXの台頭を後押しした立役者と言っても過言ではありません。この意味においてはSerumに対しても同様に大きな流動性提供者としてAMMとは異なる方法で流動性を実現し、即座にSolana上で取引可能な場を構築する可能性があります。

またFTXのUX、API、マッチングエンジン、精算エンジンなどの技術リソースがSerumに関連することも期待できるでしょう。ソラナが新たなDeFiエコシステムを構築し、機能していくかどうかという点については、今後の様子をみるしかありませんが、イーサリアム2.0やL2の発展を待つよりも早くソラナが成熟する可能性は否定できません。

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