ニューヨーク市在住の21歳の男が現地時間の11月20日、カリフォルニア州サンフランシスコ市に住む男性の仮想通貨の口座から100万ドル(約1億1,000円)を盗んだとして、マンハッタンにある自宅で逮捕された。ニューヨークの地元メディア、ニューヨークポストが報じた。
携帯電話から仮想通貨の口座にアクセス
被害者の男性は10月26日、突然、所有するiPhoneが通信できない状態になり、アップルストアに行き、契約していた通信会社のAT&Tに連絡。しかし、ハッカーの動きを止めることはできず、仮想通貨取引所のコインベース(Coinbase)とジェミニ(Gemini)にそれぞれドルで預けていたた50万ドル(約5,600万円)が盗まれた。
容疑者のニコラス・トルグリア(Nicholas Truglia)は、その他にもシリコンバレーにある企業の共同設立者やCEOの携帯電話を狙ったハッキングを複数回試みていたが、成功していなかったという。
同容疑者は、SIMスワップという方法で被害者の仮想通貨の口座にアクセスし、口座にあった100万ドルを仮想通貨に交換し、自身の口座に送金していた。当局は容疑者の自宅からハードウェアウォレットを押収し、30万ドル(約3,400万円)を取り戻したが、盗まれた残りの資金については追跡が困難な状況にあるという。
SIMスワップとは、通信会社をだましターゲットの携帯電話の番号を自分の携帯電話に取りこみ、さまざまなデータにアクセスするというもの。ハッカーはターゲットの電話番号を使うことでパスワードなどリセットすることができ、仮想通貨の口座へのアクセスも可能になる。
ビットコイン(BTC)を巡って暴行被害に遭っていたハッカー
カリフォルニア州サンタクララ群のエリン・ウエスト (Erin West)検事は今回の事件について、「古い犯罪における新しい手法だ。何百万ドルが関わる大きな問題になる。ハッカーが覚えておくべきことは、われわれシリコンバレーを拠点にした部隊はハッカーがどこに住んでいようと関係ないということだ。われわれの捜査範囲は全米だ」と話した。
ニューヨークポストによると今年9月トルグリア容疑者は、知り合い4人から自身が持つ仮想通貨口座のログイン情報を要求され、浴槽内の水中に顔を沈められたり、暴行を受けたとして被害届を提出していた。同容疑者の口座には、約120万ドル(約1億3,500万円)相当のビットコインが入ったという。
また同容疑者は暴行被害に遭った当時、「大量に仮想通貨を保有する人をターゲットにするのはよくあることだ」とコメントしていた。
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参考
・New York Post